【獣医師監修】猫がこたつを使ってもよい?注意点や安全に使う方法を解説

公開日:2024.01.16 更新日:2024.02.15

こたつに入った猫をかわいいと感じる方は多いのではないでしょうか。寒い場所が苦手な猫にとっても、ゆったりと休める暖かい場所は、癒しの場所ともいえるでしょう。昨今 では省エネ・電気代対策としても、猫に限らずこたつの人気自体が高まっています。 しかし、多くの猫がこたつに頭まで潜ってしまうからこそ、飼い主は危険性について知っておかなければなりません。この記事では猫がこたつを好きな理由から、こたつを使う際の注意点、おすすめの猫用こたつまで詳しく紹介します。

CONTENTS

記事の目次

猫がこたつを好きな理由

こたつの中でくつろぐ黒猫
猫は心地よく過ごせる場所を見つける天才です。敏感 に温度を察知できる鼻を使って、季節ごとに自分が心地よく過ごせる場所を探します。寒い冬場でも家に存在する、こたつ内部の暖かさや布団の心地よいぬくもりを敏感に察知しているといえるでしょう。

また 、猫には暗く狭い場所を好む性質があります。これは、猫は肉食動物のため野生時代は狩りをして生きてきた名残です。基本的に群れを作らず、待ち伏せや敵から身を守るために身を隠す本能があります。

こたつの中は暗くて狭い場所であるため、自分を守るのにぴったりの場所といえるでしょう。その上で暖かく過ごせる場所とは、猫にとって非常に都合のよい場所ともいえます。古くからの習性と併せて、こたつの中は猫の理想の空間だと考えられるのです。

猫がこたつを使用する際の注意点

こたつの中からこちらを見る猫
こたつの中は暖かいだけではなく、猫にとって理想的な条件がそろう場所です。しかし、いくら好きだからといって、こたつに全身を入れてしまう姿を見ると、危険なことはないのか気になる方もいるでしょう。

ここからは、猫がこたつを使用する際に知っておくべき注意点を解説します。

やけど

猫がこたつを使用する際に注意すべきひとつ目の点は、「低温やけど 」の危険性です。一般的なやけどと異なり、瞬間的な痛みや熱を感じないため、気が付きにくいからこそ危険なやけどといえるでしょう。

また、こたつの温度を「強」にしていた場合、ヒーターの熱で軽いやけどを負ってしまうことも考えられます。特に多頭飼いの場合は、ポジション争いなどで暴れてしまうとやけどの危険性が上がるため注意が必要です。

どちらの場合も、ひどくなると水ぶくれができたりや皮膚がただれてしまったりする可能性があります。こたつ内部でケンカが始まってしまった、または長時間こたつに猫が潜りっぱなしといった場合には、一度こたつの外に出すなど意識しましょう。

脱水

犬と比較して積極的に水を飲まない 猫の場合、暖かい場所に長くとどまると脱水症状を起こす危険性が高まります。こたつに潜った後、暖かい場所から離れたくないと考えて、より長時間にわたって水を飲まないことも考えられるでしょう。

猫の脱水症状を見分ける方法としては、ツルゴールテストがおすすめです。首の後ろ、または背中の皮を引っ張り、2秒~3秒程度で元の形状に戻れば問題ありません。5秒以上かかる場合には脱水の可能性があるため、鼻や歯茎の乾燥具合もチェックしましょう。

皮下脂肪の少ない痩せた猫やシニア猫は皮膚の戻りが遅いこともあります。脱水症状が見られる場合は、こたつから出して体を冷やしたり水をあげたりしましょう。特に子猫やシニア猫、持病がある猫はチェックの頻度を上げることがポイントです。

酸欠・一酸化炭素中毒

頭までこたつに潜り込んでしまう猫の場合、酸欠や一酸化炭素中毒の危険性も考えられます。閉ざされた狭い空間 で熟睡し、猫自身も気が付かない間に空気が薄くなってしまうこともあるでしょう。

長時間頭まで潜って眠っている猫には、定期的にこたつから出す、または布団を上げて空気の通り道を作ってあげるといった対策が必要です。

また昔ながらの「練炭」や「豆炭」を使ったこたつでは、長く潜り込んでいると一酸化炭素中毒を起こし、命を落とす危険性もあります。豆炭や練炭を用いたこたつでは、最初から中に潜り込ませないよう気を付けましょう。

赤外線

電気こたつで使用される赤外線は、猫の目によくないといわれています。特に 目を開けた状態で長時間赤外線を浴びると、白内障や失明のリスクが高まるとされているため注意が必要です。

目に悪いとされる理由やメカニズムが実証されているわけではありません。しかし危険性があるとされている以上、避けたほうが無難でしょう。こたつの外に出す、顔だけこたつの外に出るよう促すといった工夫が大切です。

乾燥

こたつの中 は乾燥しやすいため、長時間利用することで猫のデリケートな肌が乾燥してしまう恐れもあります。乾燥が進むとフケが出たりかゆがったり、皮膚の炎症を招くリスクが発生します。

大切な愛猫の皮膚を守るため、定期的に布団を上げる、こたつの電源を切るなどして乾燥が進みすぎないよう気を付けましょう。また、こたつ以外でも暖かくなれる場所を用意して、こたつの外でも心地よく過ごせるようにしてあげるのも有効です。

コード

こたつに限らず、家電製品のコードを猫がかまないよう注意しましょう。こたつのコードは、人から見えない上に猫に見つかりやすい状態であるため、特に注意や対策が必要です。

ひも状のもの にじゃれることが好きな猫にとって、こたつは遊び場としても魅力的です。じゃれつくことでコードが破損すると、やけどや感電の危険性が高まります。

また、火災の原因にもなりかねません。コードで遊ばないようなるべく猫の目につかないようにする、ガードを用いるなど対策を行う必要があります。

猫の安全を確保しながらこたつを使用する方法

こたつに入って仰向けで寝る猫
猫にとってこたつは魅力的な場所であると同時に、多くの危険が潜む場所でもあります。しかし気持ちよさそうにこたつを使う姿を目にすれば、ただ「禁止」とすることも忍びないものです。

そこでここでは、猫の安全性を確保しながらこたつを使用する方法について紹介します。

飼い主が在宅の場合

猫にこたつを安全に使うには、飼い主の細やかな気遣いが必要です。飼い主が在宅している場合は、危険性を把握した上で、猫がこたつの中に潜り込む時間を調整しましょう。

また 以下の点に気を付けることも重要です。

・やけどや脱水、酸欠の兆候がないかこまめにチェックする
・豆炭や練炭のこたつではなく電気こたつにする
・温度設定を弱にする
・あらかじめ空気の通り道を作っておく
・コードに安全カバーを付ける
・人がこたつに入る場合は、猫が入っていないか確認する
・勢いよくこたつに入らない

水分補給をなかなかしてくれない猫の場合は、エサをドライフードからウェットタイプに変更する方法も有効です。愛猫の習性に合わせて、安全・快適に過ごせるよう工夫してみましょう。

飼い主が不在の場合

飼い主が不在の場合 、こたつの電源は切っておくことが基本です。ただし、設備や地域の気温によっては、こたつの利用が必要なケースもあるでしょう。その場合は、飼い主が出かけるまでにこたつを「強」で利用し、出かける際に電源を切る方法がおすすめです。

こたつの中が暖められた状態になり、ある程度の間は電気を使わなくてもぬくもりをとどめておけます。またはこたつの電源を切った状態で、電源が必要ない湯たんぽを入れておく方法も有効です。

どちらの場合も、猫が出入りする場所をあらかじめ開けて置き、酸欠が起きないよう空気の通り道を用意しておきましょう。

安全性重視なら猫用こたつがおすすめ

ぐっすり寝ている猫
人間用のこたつの利用は、猫にとって思わぬ危険も潜んでいます。そこで安心してこたつを利用したい方におすすめなのが「猫用こたつ」の利用です。

しかし、猫用こたつといっても、人間用のこたつと何が違うのか分からない方も多いでしょう。ここでは猫用こたつの魅力や選び方について解説します。

猫用こたつをおすすめする理由

猫用こたつとは 文字通り、猫のために作られた猫用のこたつを指します。猫目線で作られているこたつで、猫が使う前提で安全面がしっかりと考慮されているのが特徴です。

メーカーによって特徴は異なりますが、こたつ布団部分にワイヤーを入れて布団をめくらなくても出入りができたり、コードを金属チューブで巻いていたりといった工夫がされている商品もあります。

猫用こたつの選び方

猫用こたつを選ぶ際のポイントは主に以下の3つです。それぞれの理由についても詳しく見ていきましょう。

・サイズ
・デザイン
・お手入れのしやすさ

一般的に 猫用こたつは、人間用のこたつよりコンパクトなサイズではありますが、自宅のスペースに合うサイズを選びましょう。また、猫自身の大きさやこたつを使う猫の数によって選ぶことも重要です。

また、季節ごとに利用するものなので、清潔さを保ちやすいかも重要なポイントといえます。こたつ布団が取り外せるか、洗える素材かもチェックしましょう。

寒い時期には「マルカン」の猫用こたつがおすすめ

マルカンではこたつに入るのが好きな猫にぴったりな「猫用こたつ 」を取り扱っています。赤外線ではなく「遠赤外線」を採用しており、熱くなりすぎず体の中からじんわりと暖まる仕様が特徴です。

こたつ布団にはワイヤーが入っており、出入り口を簡単に作れる点も魅力といえるでしょう。また、コード部分は全面金属でガードされているため、いたずらの心配も軽減されます。

ゆったりくつろげるLサイズの他、多頭飼いに最適な2段バージョンもラインアップ。 2段目の窓からひょっこりと顔をのぞかせる、かわいらしい姿も堪能できるでしょう。

参考:『遠赤外線にゃんこの和み(にゃごみ)こたつ M』

参考:『遠赤外線にゃんこの和み(にゃごみ)こたつ 2段』

まとめ

こたつに寄りかかって眠る猫
人間用のこたつを猫が利用する際には、意外な危険が潜んでいます。猫がこたつを使う危険性をしっかり把握し、安心安全に利用できるよう工夫していきましょう。おすすめは猫用に作られ、危険を極力排除した「猫用こたつ」の利用です。

マルカンでは猫用こたつの他、ペットが快適に過ごせるグッズを多数取り扱っております。寒い季節を暖かく快適に過ごせるよう、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。

PAGEでは、猫について、特徴や飼い方についての情報を発信しております。猫の特徴、飼い方について気になる方はぜひ「猫の特徴や飼い方」をチェックしてみましょう。

獣医師

石井香絵

獣医師  石井香絵

ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。

ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。

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