【獣医師監修】猫が吐く原因は?吐いたもの別の原因と対処法を解説
公開日:2023.12.04 更新日:2024.02.15
愛猫が突然吐いてしまうとびっくりしてしまう方が多いのではないでしょうか。猫は毛や食べ物を吐き戻す習性を持っています。しかし、あきらかにそれとは違う状況が起こることもあるでしょう。 そこでこの記事では、猫が吐いた時のチェックポイントや吐いたもの別の原因と対処法、動物病院を受診する際に必要な情報について詳しく紹介します。最後まで読むと、猫が吐く理由や、受診すべきかどうかの判断基準が理解できるでしょう。 猫がなぜ吐いたのか、吐いた後にどうすればよいのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
CONTENTS
記事の目次
猫が吐く原因はさまざま
猫の胃は、食べ物が滞留する時間が長くなりやすく吐き戻しをしやすい構造です。また、猫には、食べ物や毛づくろいで飲み込んだものなどを吐き戻す習性があります。
ただし単なる習性ではなく、病気が潜んでいることもあるため、猫の様子や嘔吐物をよく観察して見極めましょう。例えば空腹やストレス、胃腸炎・食中毒・尿毒症といった病気が原因のケースも考えられます。
判断に迷った際には、診察時に正確な状況を伝えるため、スマートフォンなどで嘔吐物や猫の様子を撮影しておくのがおすすめです。
猫が吐いた時にチェックするポイント
猫が何かを吐いたら、まず嘔吐物の状態を観察することが重要なポイントです。猫が何を吐いたのか、吐いたものはどのような色をしているのか、詳しく観察しましょう。ここでは、猫が吐いた時にチェックするポイントを紹介します。
どんな色をしているか
猫が吐いた時には、まずどのような色なのかを確認することが重要です。吐いた物と一緒に何色の液体が出たのかが分かれば原因を探れます。
例えば、猫が黄色の液体を吐いた場合に考えられる原因は、ビリルビンと呼ばれる黄色の色素を含む胆汁が胃に逆流したことです。また、唾液のように透明な液体や白い泡を吐いた場合は、胃液の可能性が考えられます。
何を吐いたか
猫が吐いた時には、嘔吐物の内容を確認することも大切なポイントです。嘔吐物の種類として、液体・毛玉・異物・フード・泡などが考えられます。嘔吐物の種類も、猫が吐く原因の見極めに役立ちます。
例えば、液体や泡を吐いた場合は消化管から分泌される胆汁や胃液の可能性があります。また、どのような状態かも注意して観察しましょう。例えば、フードでも、消化前と消化後とで原因が異なります。
猫が吐いたもの別の原因と対処法
猫が吐いたものから原因を探れます。一般的に猫がよく吐くものは、以下の通りです。
・毛玉
・未消化のフード
・猫草
・黄色い液体・泡
・透明な液体・泡
・緑色の液体・泡
・ピンク色・赤色・赤黒い色・茶色の液体
・寄生虫
・異物
ここでは、嘔吐物の種類ごとに、具体的な原因と対処法を解説します。
毛玉
猫が毛の塊を吐いた場合は、毛づくろいした時に飲み込んだ毛が胃に溜まっている可能性が考えられます。 とくに長毛種の猫は長い毛を飲み込むことで胃に毛玉が溜まりやすくなるため、溜まった毛玉を吐き出すことも多くなる傾向です。
対処法
猫が毛玉を吐く場合は、定期的にブラッシングを行いましょう。また、毛玉の排出を促すフードや毛玉除去剤を与えることも有効な対策です。
未消化のフード
猫は早食いや消化不良がきっかけとなり、消化していないフードを吐くことがあります。 嘔吐物の消化具合を観察することで、吐き戻しの原因を見極められるでしょう。
ただし、種類や消化のしやすさによってフードの消化度合いは異なるため、吐き出した液体や泡の色も確認する必要があります。
対処法
猫が消化していないフードを1回吐き戻した場合は、猫の様子や食欲に異常が見られなければ自宅で経過を観察しましょう。複数回吐く、元気がない、下痢など他の症状が見られる場合は、病気の疑いがあるため受診をおすすめします。
猫 草
猫草は、猫が胃の内容物を吐き戻す作用があるとされる植物の総称です。猫が猫草を食べることで、胃が刺激されて飲み込んだ毛玉やフードなどを吐き戻します。猫草の主な効果は、毛玉が胃に溜まって起こる毛球症の予防や整腸作用です。
対処法
猫が猫草を吐き戻したのが1回のみなら、経過を観察します。複数回吐く場合は、猫草を与えるのを止めて様子を見ましょう。
黄色い液体・泡
猫が黄色い液体や泡を吐くのは、空腹による胃酸過多や胆汁の逆流が原因に挙げられます。例えば、食事の間隔が長い場合や、フードを与える頻度が少ないといった理由が考えられるでしょう。
対処法
空腹にならないように食事の時間やフードを与える回数を見直す必要があります。それでも同様の症状が続くのであれば、動物病院を受診しましょう。
透明な液体・泡
猫が透明な液体・泡を吐く場合に考えられる原因は、胃酸や飲み水の逆流です。猫はストレスを受けたり空腹になったりして胃酸過多になると、胃液を吐きます。吐き戻す直前に水を飲んでいると、胃液と一緒に水を吐き出すこともあるでしょう。
対処法
一度吐いてすぐに収まった場合は様子を見てもよいでしょう。何度も吐くようであれば、専門医への相談をおすすめします。
緑色の液体・泡
猫が緑色の液体や泡を吐いた場合は注意が必要です。すい臓の炎症や胆汁の過剰分泌の可能性があります。
考えられる原因のひとつは、猫が異物を誤って飲み込んだケースです。異物を消化するために胆汁を多く分泌したり、腸に詰まった異物を吐き戻そうとしたりする時に緑色の液体・泡を吐くことがあります。
対処法
万が一、異物が腸に詰まり腸閉塞を引き起こしている場合、命を落とす恐れもあるため、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
ピンク色・赤色・赤黒い色・茶色の液体
ピンク色・赤色・赤黒い色・茶色の液体は出血の可能性があります。原因として考えられるのは、口や胃腸のトラブルです。ただし、鼻からもピンク色の液体が出ている場合は心臓性肺水腫という病気の疑いがあります。
吐いた直後は赤いものの、時間の経過につれて茶色や赤黒い色に変化した場合は体内の出血が原因かもしれません。また、猫が赤黒い色の塊を吐き出した場合、胃がんの可能性が高くなるため注意が必要です。
対処法
出血の可能性がある場合は、消化器系の病気のリスクが高いため、速やかに動物病院を受診しましょう。
寄生虫
嘔吐物の中に動くものを発見した場合は、寄生虫が原因で猫が吐いた疑いがあります。便にも寄生虫が混じっていることがあるため、よく観察しましょう。寄生虫を発見したら、画像や動画で撮影しておくのがおすすめです。
対処法
動物病院を受診して駆虫することが重要です。他に飼っているペットにも寄生虫がいる可能性があるため、多頭飼いしている場合は一緒に受診しましょう。
異物
ひもや布、おもちゃなどの異物を誤って飲み込んだ場合は、吐き戻すまで嘔吐が続きます。たとえ身近な植物であっても、猫にとっては毒性があるものも多いため、注意が必要です。
異物を吐き出して元気を取り戻すこともありますが、消化器官が傷ついたり異物の一部が体内に残ったりするケースもあります。最悪の場合、腸閉塞を引き起こすリスクが高まるため、放置しないようにしましょう。
対処法
猫が自力で異物を吐き出した場合でも、消化器官に異常がないか確認するために、専門医への相談をおすすめします。
嘔吐物以外の受診判断基準
猫が吐いたものによっては動物病院の受診が必要です。猫が吐いた時に嘔吐物の色や種類を観察することも大切ですが、嘔吐物以外にも、受診するかどうかの判断基準があります。ここでは、嘔吐物以外に受診の判断基準になる情報について確認してみましょう。
吐きたそうなのに吐けていない
吐く素振りはあるものの、何も吐き出せない様子が見られる場合には注意が必要です。吐きたいのに吐けないという状態が続く場合は、毛球症または異物を誤飲した可能性が考えられます。
毛玉や異物を放置し続けると、腸に詰まって腸閉塞を引き起こすリスクが高まるため、速やかに動物病院を受診して猫の様子を正確に伝えましょう。異物によって消化器官が傷つけられる恐れがあるため、早めの受診をおすすめします。
何度も繰り返し吐いている
猫は毛玉やフードを吐き戻す習性がある動物です。しかし、1日に何度も繰り返し吐く場合は、受診したほうがよいでしょう。
異物誤飲による腸閉塞や、消化器系の病気などが原因で猫が吐き続けるケースもあります。 受診にあたって、事前に猫が吐いた時の様子や頻度などをメモに取っておくと、正確な状況を伝えるのに役立つでしょう。
発熱など嘔吐以外の症状がある
嘔吐以外に、発熱や下痢などの症状が見られる場合は、猫を動物病院へ連れて行くことをおすすめします。受診が必須とされる主な症状は以下の通りです。
・下痢・発熱・けいれん
・震え
・便秘
・おしっこが出ない
下痢・発熱・けいれんが見られる場合は、中毒症状の疑いがあります。猫が誤って薬や毒性のある植物・食べ物をなめたり食べたりした場合がその一例です。猫が震えている場合も中毒症状の可能性があります。
嘔吐した猫が便秘である場合は、腸閉塞が原因で腸に溜まった便を排出しようといきんで吐き戻しているのかもしれません。
また、尿道に結石が詰まり、尿道閉塞を引き起こしている場合は、おしっこが出なくなることがあります。いずれにしても様子見では症状が改善しないため、速やかに受診しましょう。
猫の嘔吐で動物病院を受診する際に伝えたい情報
猫の嘔吐が心配で動物病院を受診する際には、次に挙げる情報を獣医師に伝えることが大切です。
・吐いた回数
・嘔吐物の見た目
・猫が吐いた前後の様子
・嘔吐以外の症状
・最後に食べた食事内容
上記の情報をメモにまとめておくことで、受診時に正確な情報を獣医師に伝えられます。また、猫が吐いた前後の様子や嘔吐物の見た目を記録する方法として、画像や動画を撮影すると便利です。
嘔吐物を動物病院に持って行く場合は、ラップやアルミホイルなどに包んでおきましょう。
まとめ
猫が吐く原因はいろいろあり、何を吐いたのか、嘔吐物の色は何色か、他に症状はあるのかによって原因や対処法が異なります。嘔吐後に猫が回復した場合でも、様子見で済ませるのは危険なケースもあるため注意が必要です。
猫が毛玉を吐くことが多い場合は、毛玉の排出をサポートする猫用のおやつやフードに切り替えるのもひとつの方法です。マルカンでは猫用のおやつやフード、猫用品など幅広い商品を取り扱っているため、ぜひ一度ご利用ください。
また、PAGEでは、猫について、特徴や飼い方についての情報を発信しております。
猫の特徴、飼い方について気になる方はぜひ「猫の特徴や飼い方」をチェックしてみましょう。
獣医師
石井香絵
AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 犬猫の問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、学院講師・セミナー・執筆活動・メディアなど幅広く活躍。 行動治療にホリスティックケア(メディカルハーブ、フラワーレメディ、レイキ、アニマルコミュニケーションなど)を取り入れ動物たちに優しいケアを行っている。
AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 犬猫の問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、学院講師・セミナー・執筆活動・メディアなど幅広く活躍。 行動治療にホリスティックケア(メディカルハーブ、フラワーレメディ、レイキ、アニマルコミュニケーションなど)を取り入れ動物たちに優しいケアを行っている。
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