【獣医師監修】猫のご飯の選び方とあげ方|回数・量・NG食材まで徹底解説

公開日:2023.12.04 更新日:2024.02.15

猫のご飯はペットショップだけでなく、ホームセンターやネットショピングなど、さまざまな場所で購入できて種類も豊富です。そのため、初めて猫を迎え入れた方の中には「どれを選んだらよいか分からない」と迷う方もいるのではないでしょうか。 この記事では、猫のご飯の種類と選び方について紹介します。回数や量など与え方の解説もしていますので、ぜひ参考にしてください。猫のご飯の種類と選び方のポイントを押さえると、数ある商品の中から愛猫にぴったりのご飯が見つかるでしょう。

CONTENTS

記事の目次

猫のご飯の種類

食器からあふれてこぼれ落ちたキャットフード

猫のご飯は総合栄養食、栄養の補助として与える一般食、疾病のための療法食、トッピングのための目的食など、体調や食い付きによって選べるほど種類が豊富です。また、ご褒美や楽しみとしてあげるおやつもあります。

まずはそれぞれのご飯の特徴を把握し、愛猫にはどの種類の猫ご飯が必要なのかを確認しましょう。

総合栄養食

総合栄養食とは、猫に必要な栄養素がすべてバランスよく含まれており、毎日の主食として欠かせない猫のご飯です。カリカリタイプのドライフードと、缶詰やパウチに入ったウェットフードがあります。

2種類の違いは含まれている水分量です。ウェットフードはドライフードよりも水分量が多いため、水をあまり飲まない子や泌尿器系の病気を患っている猫に適しています。

また、満腹感も得やすいため、すぐにご飯のおねだりをする猫や、肥満傾向のある猫にもおすすめです。

一般食(副食)

一般食はウェットタイプが多く、人間にとってのおかずにあたるフードです。いつものご飯に飽きてしまった場合やご飯が進まない場合に活躍します。

注意点は、一般食単体では栄養バランスが偏ってしまうため、総合栄養食と併用して与えなくてはならない点です。

また、一般食は間食として与えるおやつとは異なるため、併用して与える場合は、その分総合栄養食を減らす必要があることにも留意しましょう。カロリーを気にせずに与えると、猫の肥満の原因となってしまいます。

療法食

療法食とは特定の疾病に対する食事療法のために、栄養バランスが考慮されている猫のご飯です。下部尿路・腎臓・肥満・消化器用など特定の健康状態の猫に適した栄養バランス設計のものが用意されています。

猫に療法食を与えるのか、与えるのであればどの種類を選ぶのかは、獣医師の判断に従いましょう。飼い主が独断で与えると必要な栄養が取れなくなり、病気を悪化させてしまう恐れもあります。

目的食

目的食とは総合栄養食・間食・療養食以外の猫のご飯で、嗜好性増進を目的とするものと、特定の栄養調整を目的とするものがあります。

嗜好性増進タイプは食欲促進させたい時におすすめです。缶詰やレトルトが多く、食い付きが悪い猫に食欲をそそらせるためのトッピングとして利用できるでしょう。

特定の栄養の調整を目的とするタイプは、栄養補完食・カロリー補給食・栄養補助食などがあります。パッケージに分かりやすく記載されているので、購入前に確認しましょう。

おやつ(間食)

おやつはしつけのご褒美や、猫の楽しみとして与えるものです。特に迎えたばかりの時は、スキンシップのアイテムとして利用すると、信頼関係を築くのに役立ちます。おやつは猫が喜ぶ味付けになっているため、おねだりする猫も多いでしょう。

しかし、ねだられるまま与えると、主食を食べなくなったり高カロリーになったりする恐れがあります。ルールを決めて、与え過ぎには注意しましょう。

猫のご飯の選び方

食器に入れられたキャットフードの横で眠る猫

猫ご飯の選び方の基本は年齢です。子猫期・成猫期・シニア期、それぞれのライフステージに適したご飯があります。

猫によっては体形に合わせたタイプや妊娠や病気の有無で選ぶのが最適な場合もあるでしょう。選び方を詳しく解説するので、愛猫の体にぴったりのご飯選びの参考にしてみてください。

年齢

猫のご飯は年齢別に種類が分かれています。パッケージに記載されている適正年齢を確認し、猫の年齢に合ったタイプを選びましょう。主に生後3か月~12か月ごろの子猫期、1歳~6歳ごろの成猫期、7歳以上のシニア期の展開です。

子猫タイプは成長に必要な栄養が摂取できるもの、シニアタイプは健康維持に必要なものが入っているなど、それぞれの年齢に必要な栄養バランスを考えて作られています。猫の健康のため、年齢に適しているかどうか確認して購入しましょう。

体形

猫に与えるご飯は、体形によっても最適な選択が変わります。現在は室内でのみ過ごす猫が大半のため、猫の体重管理は飼い主にとって重要です。室内でもスキンシップを通して、うまく運動させる必要があります。

気を使っていてもぽっちゃり体形が気になる猫には、低カロリーフードを選び、摂取カロリーを抑えてあげましょう。また、おやつの与え過ぎも肥満につながるため、量の調節が肝心です。

健康状態

妊娠中や授乳期の猫には、通常の成猫とは異なり、高カロリー・高脂質・消化のいいタイプのご飯 が必要です。この期間は成猫用ではなく、栄養価の高い子猫用のご飯をおすすめ します。

病気を抱えている猫には、疾病に合わせたご飯を選びましょう。疾病の内容によっては、療養食が必要です。かかりつけの獣医師に相談し、猫の状態に最適なご飯を選びましょう。

猫の食事回数と適正量

お皿にご飯を入れている女性と待ちきれずに食べ始めてしまう猫

猫の食事回数と適正量は年齢によって異なります。子猫と成猫の食事の与え方をそれぞれ解説しますので、ポイントをチェックしましょう。

また、年齢に限らず肥満気味の猫の場合は、摂取カロリーに気を配る必要があります。体重管理が必要な猫への、適切な食事方法も確認しましょう。

子猫の場合

子猫への食事回数や量は、月齢と体重によって調整します。適正量はパッケージに記載の量を参考にしましょう。回数は成長にするにつれ、子猫の様子を見ながら徐々に減らしていきます。

離乳したてのころは、一度に食べる量がとても少ないため、回数は頻回です。徐々に回数を減らしていき、6か月を過ぎるころには3回~4回程度に落ち着かせるのを目安にするとよいでしょう。

子猫は与え方にもコツが必要です。離乳したての猫に急にカリカリのドライフードを与えるのは、胃に負担がかかります。最初はドライフードをふやかして柔らかくして与えましょう。

成猫の場合

成猫の食事回数は2回~4回程度が適切です。しかし、食事の直後に吐き戻してしまう場合は、その子にとっては1回の量が多い可能性があります。1回の食事で与える量を減らし、回数を増やして様子を見ましょう。

成猫のご飯の適正量は、パッケージに記載の給与量が目安です。しかし、個体差や運動量によっても異なります。去勢・避妊した室内猫を基準にすると、活発な猫の場合は1.5倍程度、妊娠中の場合は2倍程度 の量が必要です。

肥満気味の猫の場合

肥満気味の猫の場合は量を減らすよりも、肥満猫用の低カロリーフードにするなど、ご飯の種類を変えるのがおすすめです。これは、量を減らすと空腹の時間が増えるため、ストレスを感じる猫もいるためです。

肥満猫用のご飯は、摂取カロリーは一般の成猫用より少なく、必要な栄養はしっかり取れるように設計されています。

しかし、肥満気味の猫でも個体差があるため、獣医師に相談して愛猫に合った食事方法を取り入れましょう。また、おやつは肥満気味の猫にはなるべく控えるのがおすすめです。

猫のおやつのあげ方

猫におやつをあげる目的は、主にコミュニケーション、しつけのご褒美、ストレス発散などです。おやつは生きていくために必須の食べ物ではないため、あげる頻度に決まりはありません。

しかし、しつけなどに利用したい場合は、あげるタイミングを決めておくのがおすすめです。また、あげる量は1日に必要なエネルギーの20%以内にしましょう。パッケージにも1日の目安量が記載されています。

猫にとって危険な食べ物とは

バツの札を前に出している女性
人間の食べ物の中には、猫にとっては危険なものがあります。ここからは、猫にあげてはいけない食べ物と、たくさんあげてはいけない食べ物に分けて紹介します。猫にとって危険な食べ物は、猫の手の届かない扉つきの場所や冷蔵庫内に保管しましょう。

あげてはいけない食べ物

猫にあげてはいけない食べ物は、以下の通りです。

・ネギ類
・チョコレート
・アボカド
・コーヒーや紅茶
・アルコール
・鶏の骨
・マカダミアナッツ
・香辛料
・アレルギー物質を含むもの など

食べると重い中毒症状を起こすだけでなく、命にも関わります。また、人間の薬やサプリメントも、猫に限らず動物に与えてはいけません。そのほか、一部の観葉植物は腎毒性を持つため、部屋に置かないようにしましょう。

たくさんあげてはいけない食べ物

少量なら問題のないものでも、一度にたくさん食べたり長期的に食べ続けたりすると、病気を引き起こす食べ物があります。猫にたくさんあげてはいけない食べ物は、以下の通りです。

・塩分の多いもの
・ホウレンソウ
・イカやタコなどの魚介類
・甲殻類
・貝類
・生卵
・煮干し
・海苔
・米飯
・レバー など

これらの食べ物を定期的にあげるのは控えましょう。

猫のご飯に関するよくある質問

部屋の隅に置かれているQ&Aの文字が記載されたブロック
愛猫がご飯をあまり食べてくれない、シニア期に入って食欲が落ちたなど、愛猫の食欲や食べムラは健康に関わるため重要な問題です。

ここからは、猫のご飯の食べ方についてのよくある質問と、その回答をそれぞれ紹介します。愛猫の様子と照らし合わせて、解決方法を確認しましょう。

年齢が原因で食欲が落ちることはある?

年齢が原因で食欲が落ちることはありません。ただし、シニア期に入ると、体力が落ちて活動量が減るため、結果として食事量が減る場合はあります。

シニア期でも健康で食欲を維持し続けるためには、毎日の適度な運動が必要です。こまめにスキンシップを図って体を動かし、お腹が空くように工夫しましょう。

万が一、急に食事量が減った場合は病気の可能性があります。極端に食欲が減った時は、早めに動物病院を受診しましょう。

ご飯をあまり食べてくれない時の対処法は?

猫の食事が進まない主な原因は、ストレス・偏食・飽きなどです。ストレスが原因の場合は、ストレスの元を探って取り除きます。偏食や飽きが原因なら、日替わりでご飯の種類を変えたり目的食をトッピングしたりなど、ご飯の与え方を工夫しましょう。

そのほか、
・老化で味覚や嗅覚が衰えた
・活動量が低下して必要なエネルギー量が減った
・発情期
などの場合も考えられます。

しかし、寝てばかり、水も飲まない、吐いてしまう、下痢をしているなどの症状が見られれば、病気の可能性があるため速やかに受診しましょう。

おやつは食べるのにご飯を食べない時はどうする?

おやつしか食べない猫には、ドライフードにおやつを混ぜて与えましょう。おやつしか食べないのは、偏食や飽きが原因です。猫にも好みがあるため、主食よりもおやつがおいしいと感じて食べない場合もあります。

おやつをご飯に混ぜる時はしっかり混ぜて、おやつだけを食べないようにしましょう。徐々におやつの量を減らし、ご飯だけでも食べられるようにします。

猫のご飯は手作りしてもよい?

猫への手作りご飯は、トッピング程度であれば問題ありませんが、おすすめはしません。市販の猫のご飯は、栄養バランスを考えて作られています。よほど栄養に関する知識がない限り、手作りで栄養バランスの取れた食事を用意するのは困難です。

添加物が心配、新鮮なものを食べさせるために手作りを与えたいといった場合は、定期的な健康診断で健康状態を確認しながら与えましょう。

猫に人間の食べ物をあげても問題ない?

猫には人間のご飯をまったくあげないのが理想です。人間の食べ物は人間がおいしいと感じられるように味付けしています。しかし、猫にとっては塩分が多く、あげてはいけない香辛料が使われている場合がある上、高カロリーです。

人間のご飯のおいしさを知ってしまうと、クセになって盗み食いをすることも考えられます。飼い主が知らない間に食べる行為は、危険な食べ物を誤食してしまう危険も高まるため、避けなければいけません。飼い主の食べ物と猫のご飯は別に用意しましょう。

まとめ

ふかふかの毛布の上で気持ちよく眠る猫

猫のご飯は総合栄養食、一般食、目的食、おやつなど、目的に応じた種類があります。疾病のための療養食もあるため、愛猫の健康状態・年齢・体形に合わせて選びましょう。

「マルカン」の猫のご飯は、 愛猫が健康を維持し、長生きできるよう栄養素にこだわったラインナップです。

それぞれのライフステージに対応できる商品がそろっているため、子猫から高齢猫まですべての年齢の猫が満足できます。健康維持にこだわった猫のご飯を探しているなら、ぜひマルカングループの商品をチェックしてみてください。

また、PAGEでは、猫について、特徴や飼い方についての情報を発信しております。
猫の特徴、飼い方について気になる方はぜひ「猫の特徴や飼い方」をチェックしてみましょう。

獣医師

石井香絵

獣医師  石井香絵

AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 犬猫の問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、学院講師・セミナー・執筆活動・メディアなど幅広く活躍。 行動治療にホリスティックケア(メディカルハーブ、フラワーレメディ、レイキ、アニマルコミュニケーションなど)を取り入れ動物たちに優しいケアを行っている。

AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 犬猫の問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、学院講師・セミナー・執筆活動・メディアなど幅広く活躍。 行動治療にホリスティックケア(メディカルハーブ、フラワーレメディ、レイキ、アニマルコミュニケーションなど)を取り入れ動物たちに優しいケアを行っている。

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