【獣医師監修】猫のしっぽが表す気持ちをパターン別に詳しく解説
公開日:2023.12.04 更新日:2024.02.15
猫のしっぽは、横にくねくね・先だけフリフリと、さまざまな動きをします。振り方のパターンがたくさんあり、ご機嫌で構ってほしいのか、放っておいてほしいのか分からないという経験をしたことはないでしょうか。 この記事では、猫のしっぽの役割や、10種類のしっぽの動きがそれぞれどのような感情を表すのかを解説します。しっぽの適切な触り方や触る際の注意点に加え、しっぽが持つ感情表現以外の役割も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
CONTENTS
記事の目次
猫はしっぽの動きで気持ちを表現する
猫は、しっぽを動かすことで仲間とコミュニケーションを取っています。左右に振る、ピンと立てる、垂らすなどの動きで感情を伝えるしっぽは、猫にとって大切なコミュニケーションのツールです。
しっぽには先まで神経が通っており、先端だけ揺らす、毛を逆立てるなど器用に感情表現を行います。
耳の動きや鳴き声、マーキングなどもコミュニケーションに使われますが、しっぽでの感情表現はバリエーションが豊富であり頻繁に行われます。意味を理解すれば愛猫とさらに仲良くなれるでしょう。
しっぽの振り方から分かる猫の気持ち
猫のしっぽの振り方や状態はさまざまです。それぞれどのような感情を表しているのかを詳しく解説します。
中には機嫌が悪い状態や威嚇している状態もあり、むやみに近づくと危険なこともあります。同じ動きでも、犬とは真逆の感情を表すことがある点もポイントです。愛猫の感情を正しく読み取って、信頼関係を深めましょう。
ゆっくり大きく振る
しっぽを左右にゆっくりと大きく振っている場合は、機嫌がよく、リラックスしている状態です。愛猫がしっぽを 穏やかにゆらゆらとさせていたら、体をなでて一緒にリラックスしたり、遊びに誘ったりしてみるのがおすすめです。
先だけピクピクさせる
上がっている・下がっているに関わらず 、しっぽの先端だけがピクピクと動いている時は、何かに集中しているサインです。虫・おもちゃなどの獲物を狙っている時にもこの動きをします。
また、気を引かれるものを見つけたことで、好奇心に満たされた状態ともいえます。 集中している状態なので、あまり構わずにそっとしておきましょう。
先だけゆらゆらパタパタさせる
しっぽの先端がピクピクではなく、ゆらゆら、もしくはパタパタしている場合は考え事をしている可能性が高いでしょう。周りを見ながら、次に何をしようかと考えています。
名前を呼ばれた時にこのような振り方をする場合も あります。振り向いたり鳴いたりはせず、しっぽの先端だけで簡易的に返事をしている状態です。
ピンとまっすぐ立てる
しっぽが上にまっすぐピンと立っていることもあります。これは好意を示す仕草で、子猫が母猫に甘える時に見られます。飼い主に対して行っている時は、好きという気持ちを表現していると考えられるでしょう。
また成猫は、相手に挨拶をする時にしっぽを立てる習性があります。 いずれの場合も好意的な相手に対して行っており、基本的に機嫌がよい状態です。
巻き込んでいる
しっぽを巻き込んでいる場合は、恐怖を感じている可能性が高いでしょう。しっぽに力が入っている、しっぽが垂れ下がっている、耳を寝かせているという状態も怖がっているサインです。
一方で、前足にくるっと巻きつけている場合は安心のサインです 。場所が気に入って落ち着いている状態なので、邪魔はしないようにしましょう。
毛が逆立って太くなっている
他の猫や怖いものに威嚇している時は、しっぽの毛が逆立ってふくらみ、太くなります。これは自分の体を大きく見せるために行っていることで、緊張によってしっぽにある立毛筋が収縮した状態です。
かなり興奮している状態なので、むやみに近づいたり手を出したりしないようにしましょう。
下がっている
しっぽが下がっている場合、どの程度下がっているかによって感情が異なります。力が入っておらず、水平のラインより少し下の位置にある時はノーマルな基本の状態です。 穏やかで気分が安定しており、強い感情はありません。
だらりと大きく下がっている場合は、落ち込んでいる証拠です。悪いことをして叱られた、同居の猫に怒られたなど嫌なことがあった時にこのような様子が見られます。
体調不良の可能性もあるので、長く続く場合や食欲不振などの異常がある際は動物病院を受診しましょう。
バタバタと激しく振る
しっぽをバタバタと激しく速いスピードで振っている時は、かなり不機嫌でイライラしています。横になりながら床や地面に叩きつけている時も同様です。
獲物を狙っている可能性もあり危険なので、この振り方をしている時はそっとしてあげましょう。 犬はうれしい時にしっぽを激しく振りますが、猫は真逆です。なでようとすると、とても危険なので覚えておきましょう。
山なりに振っている
山なりに動かして振っている場合はさらに危険で、まさに一触即発の状態です。飛びかかる寸前の臨戦態勢であり、相手に「これ以上近くに来ると許さない」と最終警告をしています。
基本的には家の外で敵に出会った時に取る行動ですが、 巻き込まれてケガをする可能性が高いので近づかないようにしましょう。
足の間に隠している
猫が小さくうずくまって足の間にしっぽを隠している時は、攻撃しないでほしいというアピールです。恐怖を感じている状況なので、環境を変えたりその場から遠ざけたりしてあげるとよいでしょう。
猫に近づいた時に足の間にしっぽを隠す行動を見せた場合は、近づいてほしくないというアピールかもしれません。しばらくは様子を見ながら、そっとしておくことをおすすめします。
猫のしっぽの触り方と注意点
感情豊かに動くかわいらしいしっぽですが、実は非常に敏感な部位でもあります。猫のしっぽを触る際は、触り方に注意が必要です。なでる場所やタイミングにも気を付けて、ストレスを与えないようにしましょう。
しっぽは付け根をなでるのがおすすめ
しっぽの付け根をなでられるのが好きな猫がいますが、これは重要な神経が集まっているからと考えられます。心地よい刺激を感じられるので、しっぽを触る場合は基本的に付け根をなでるのがおすすめです。
しかし、すべての猫がしっぽの付け根を触られるのが好きとは限りません。好きなポイントはそれぞれ違うので、様子を見ながら喜ぶ場所を探すのがよいでしょう。
ストレスを与えないよう無理に触らない
先端まで神経が通った猫のしっぽは、とてもデリケートです。嫌いな場所を触ったり構ってほしくない時に無理に触れたりすると、ストレス を感じることもあるでしょう。
まずはご機嫌を見て触ってもよい状態であるか確認し、優しくなでるのがおすすめです。途中で嫌がるそぶりを見せた場合は、すぐにやめましょう。
猫のしっぽには感情表現以外の役割も!
猫のしっぽの役割は、感情表現をすることだけではありません。実は、安全・健康を保つための機能や、動物として欠かせない機能も持っています。
しっぽは敏感な場所なので、むやみやたらに触るのはよくありません。猫にとって大事な役割を果たすものであることを理解した上で接しましょう。
体のバランスを取る
猫は高い場所や狭い足場でも軽々と歩けますが、これを可能にしているのはしっぽです。 しっぽを振って骨盤の位置を調整しながら歩くことで、不安定な場所でもスムーズに進めます。
足元の状態が悪い時だけでなく暗い場所を歩く時もしっぽでバランスを取っており、必要不可欠な部位です。
体温の低下を防ぐ
しっぽは寒さを防ぐことにも役立ちます。猫は寒い時に丸くなりますが、その際にしっぽを顔の付近に巻きつけることで体温をキープしているのです。猫は服を着ることがあまりありませんが、しっぽは自前のマフラーとして活躍します 。
マーキングする
猫の肛門の周りやしっぽの付け根のあたりには臭腺(しゅうせん)と呼ばれるものがあります。臭腺はにおいを発しており、縄張りを表すためのマーキングに使われることがある部位です。
しっぽをピンと立てて付け根や肛門を出し、飼い主にスリスリとこすりつける行動を見たことはないでしょうか。これは飼い主に臭腺のにおいを付けていると考えられています。独占欲や愛情の表れといえるでしょう。
まとめ
猫はしっぽでコミュニケーションを取る動物です。しっぽの振り方や状態には多くのパターンがあります。これらのサインを理解することで、信頼関係を深められるでしょう。むやみに近づくと危険な時もあります。感情に合った接し方をすることが大切です。
ペットフード・ペット用品を販売するマルカンでは、愛猫との暮らしを豊かにするアイテムを豊富に取りそろえております。
ご機嫌な時は猫じゃらしで遊ぶ、リラックスしている時は鍋型ベッドの横で一緒にくつろぐなど、さらに楽しく快適に過ごせるよう工夫してみてください。
また、PAGEでは、猫について、特徴や飼い方についての情報を発信しております。
猫の特徴、飼い方について気になる方はぜひ「猫の特徴や飼い方」をチェックしてみましょう。
獣医師
石井香絵
AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 犬猫の問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、学院講師・セミナー・執筆活動・メディアなど幅広く活躍。 行動治療にホリスティックケア(メディカルハーブ、フラワーレメディ、レイキ、アニマルコミュニケーションなど)を取り入れ動物たちに優しいケアを行っている。
AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 犬猫の問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、学院講師・セミナー・執筆活動・メディアなど幅広く活躍。 行動治療にホリスティックケア(メディカルハーブ、フラワーレメディ、レイキ、アニマルコミュニケーションなど)を取り入れ動物たちに優しいケアを行っている。
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