【専門家監修】犬が食べてはいけないものとは?食べてしまったときの対処法も
公開日:2024.01.16 更新日:2024.01.23
食事中に愛犬が物欲しそうに食べ物を見ていたら、つい与えてしまう飼い主もいるのではないでしょうか。また犬は好奇心が強く、食べ物を拾い食いしてしまうことも少なくありません。 しかし、人間の食べ物の中には、犬が食べると中毒症状を引き起こすものがあるので注意が必要です。この記事では、犬が食べてはいけないものや食べてしまったときの対処法を解説します。
CONTENTS
記事の目次
犬が食べてはいけないもの|危険度が高いもの
人間の食べ物の中には、犬が食べると中毒症状を起こしてしまうものがあります。犬がこれらの食べ物を口にすると嘔吐や下痢などの症状を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあるため注意が必要です。
ここでは、犬が食べると危険度が高い食べ物を解説します。愛犬の命を守るためにも危険な食べ物を確認しておきましょう。
チョコレート・カフェイン
犬がチョコレートを食べると、次の中毒症状があらわれる可能性があります。
・下痢
・嘔吐
・不整脈
・けいれん発作
中毒症状の原因は、チョコレートの原料であるカカオに含まれる「テオブロミン」と呼ばれる成分です。テオブロミンはカフェインと似た成分で、過剰摂取すると中毒症状を引き起こします。
犬のテオブロミン分解能力は低く、体内に長くとどまることから、数時間から半日ほどたってから中毒症状があらわれることも少なくありません。カカオ濃度が高くなるほど、深刻な中毒症状を引き起こし死に至ることもあるため注意が必要です。
ブドウ・レーズン
犬がブドウやレーズンを食べると、24時間以内に嘔吐や下痢、腹痛などの中毒症状があらわれます。重度の場合は急性腎障害を引き起こし、死に至ることもあり大変危険です。
しかしながら、ブドウやレーズンに含まれるどの成分が中毒の原因となっている成分なのかはいまだに解明されていません。
ブドウやレーズンをなめる程度であれば危険性は低いものの、マスカットなどの大きな粒の場合は、1粒食べただけで中毒症状があらわれることもあります。
キシリトール
人間用の歯磨きガムやキャンディーなどの食品に使われる、人工甘味料のキシリトールも犬が食べてはいけない食べ物のひとつです。犬がキシリトールを食べると血糖値を下げる働きのあるインスリンの分泌が促進され、低血糖や肝障害を引き起こします。
重度の場合、肝不全で命を落とすこともあり大変危険です。小型犬であれば、キシリトール入りガム1粒で中毒を起こす可能性があるので、置き場所には十分気を付けましょう。
ネギ類
犬がネギ類(ニンニク・玉ネギ・らっきょう・にらなど)を食べると、貧血の症状を引き起こします。ネギ類の香味成分に含まれる「有機チオ硫酸化合物」が、犬の赤血球を壊してしまうからです。
犬は有機チオ硫酸化合物を分解できないため、個体差はあるものの体重1キログラムあたり、玉ネギ約15グラム~30グラム程度の少量で中毒症状があらわれる可能性があります。
またネギ類は加熱しても、有機チオ硫酸化合物の毒性は失われないため、人の食べ物は少量でも与えないほうが安心です。
アボカド
犬がアボカドを食べると、次の中毒症状があらわれることがあります。
・下痢
・嘔吐
・呼吸困難
中毒症状の原因は、アボカドに含まれる「ペルシン」という殺菌作用のある成分です。ペルシンはアボカドの果肉だけでなく皮や種にも含まれており、どの程度摂取したら中毒になるのかはまだ分かっていません。
またアボカドの種子は大きく硬いため、誤飲すると窒息したり、消化できずに腸閉塞になったりする恐れがあります。
銀杏
人間でも大量に摂取すると中毒になる銀杏を犬が食べてしまうと、少量でも皮膚炎や頭痛、吐き気といった中毒症状を引き起こします。中毒症状の原因は以下の2つの成分です。
・メチルピリドキシン
・ギンコライド
メチルピリドキシンを摂取すると、けいれんやてんかん発作が起きたり、意識不明になったりすることがあります。加熱しても毒性は消えません。また、銀杏の殻に付着しているギンコライドは、触れると皮膚炎や頭痛、吐き気といった症状を引き起こします。
銀杏は秋になるとイチョウの木から大量に落ちるため、犬が拾い食いしたり踏んだりしないよう、散歩のルートを変えるなどの対処が必要になるでしょう。
アルコール
犬がアルコールを飲むと下痢や嘔吐、昏睡などの中毒症状を引き起こします。犬は人間と異なり、アルコールを分解する酵素を持っていないからです。
また犬は体が小さく、少量のアルコールでも急速に吸収されます。30分程度の短い時間で中毒症状があらわれることもあるため、お酒の誤飲には注意が必要です。
犬が食べてはいけないもの|与え過ぎるとよくないもの
人間の食べ物の中には、犬が過剰に食べると体調を崩してしまうものもあります。犬は食べ物の量を自ら調整できないため、飼い主の管理が必要です。
また与え方によって、犬に害を及ぼす可能性がある食べ物もあります。ここからは、犬に与え過ぎるとよくない食べ物を見ていきましょう。
魚介類
イカ・タコ・甲殻類・貝類などの魚介類や二枚貝やサバ・イワシには、次のような中毒症状を引き起こす危険性があります。
・魚介類(イカ・タコ・甲殻類・貝類)……チアミナーゼによるビタミンB1欠乏症
・二枚貝……ノロウイルス食中毒
・サバやイワシ……寄生虫アニサキスによる食中毒
ビタミンB1欠乏症になると、ふらつきやけいれん発作などの症状があらわれます。チアミナーゼやノロウイルス、アニサキスは十分な加熱により死滅するので、犬に魚介類を与えたいときは十分加熱してから与えるようにしましょう。
タコやイカは加熱しても消化しづらいため、食べ物を丸のみする習性のある犬は、消化不良を起こすことがあります。
卵白(生)
卵は栄養豊富なので、犬にも積極的に与えたいところですが、生の卵白の成分「アビジン」は、皮膚や被毛を保護する働きを持つ「ビオチン」の吸収を妨げ、皮膚炎や脱毛の原因となる恐れがあります。
アビジンは加熱すると不活性化するため、ゆで卵にして与えれば問題ありません。ただし犬にも卵アレルギーがあるため、食べさせる場合は少量ずつ与えましょう。また卵は高カロリーなので、与え過ぎにも注意が必要です。
牛乳
牛乳は栄養価の高い飲み物ですが、犬が飲用すると消化不良を起こし下痢をしやすくなります。犬は牛乳に多く含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素(ラクターゼ)の分泌が少ないからです。
ラクターゼは子犬の頃、母乳を飲むため多量に分泌されますが成長するにつれて分泌量は減っていきます。犬にミルクを与えたいときは、乳糖を含まない犬用に調整された牛乳やヤギミルクを与えるのがおすすめです。
加工肉
ハムやソーセージなどの加工肉には塩分が多く含まれているため、犬には適していません。犬が1日に必要とするナトリウムの量は、体重1キログラムに対して50ミリグラム、塩分に換算すると0.127グラムです。
市販のロースハム2枚に含まれる塩分量は約1グラムなので、犬に少し与えただけでも塩分過多といえます。塩分過多になると心臓や腎臓に負担がかかり危険です。
また、加工肉には脂質や添加物も多く含まれているため、できるだけ犬には与えないようにしましょう。
犬が食べてはいけないもの|与え方に注意が必要なもの
食材そのものに害がなくても、誤った与え方をすると、犬の健康を害する恐れがある食べ物もあるので注意が必要です。ここでは与え方に気を付けたい食べ物を解説します。正しい与え方を確認し、犬の健康的な食生活を支えましょう。
生肉
豚肉や鶏肉は生では与えず、火を通してから与えるようにしましょう。寄生虫や食中毒を引き起こす細菌・ウイルスが付着しており、犬に与えると食中毒を起こす可能性があります。
人の生食用に処理されている牛肉や馬肉であれば、良質なタンパク質やビタミン、アミノ酸が摂取できます。生で与える際には、新鮮なものを選びましょう。
鳥の骨
鳥の骨は縦に裂けると先端が鋭くなり胃や腸などの内臓に傷を付けてしまう恐れがあります。
また犬は食べ物を丸のみする習性があり、大きな骨は窒息の危険があるため注意が必要です。鳥の骨は圧力鍋調理で柔らかくしたものや、犬用に加工されたものを与えるとよいでしょう。
パン
パンの基本的な原材料には、犬に有害な物質が含まれていないので、与えても問題ありません。しかし総菜パンや菓子パンには、犬が中毒を引き起こす成分が含まれている可能性があるため注意が必要です。
パンの種類によっては、塩分や脂質も高いため、人間用のパンを犬に大量に与えないようにしましょう。犬にパンを与えたいときは、油分や塩分、糖分の含有量が少ない犬用のパンがおすすめです。
犬が食べてはいけないものを食べてしまったら?
犬の誤飲や中毒に気付いたら、できるだけ早く動物病院に連絡をしましょう。「何を」「いつ」「どのくらいの量」食べたのかを伝え、獣医師からの指示を仰ぎます。動画や写真を撮っておき、診察時に確認してもらうのもよいでしょう。
また犬の誤飲に気付いたときに、飼い主が自己判断で吐き出させようとするなどの処置をしてはいけません。食べ物の種類や中毒症状によっては吐かせないほうがよいこともあるため、処置はせずに獣医師に診てもらいましょう。
犬専用フードで健康的な食生活を!
人間の食べ物の中には、犬にとって悪影響を及ぼすものがあります。中には命に関わる中毒症状を引き起こす食材もあるため大変危険です。犬には「総合栄養食」と記載されたドッグフードを選んで食べさせましょう。
マルカンでは、食物アレルギーの犬に対応したフード「ナチュラハ グレインフリー」やカルシウムを補給できるおやつ「ほねっこ スナック」など、さまざまなドッグフードや犬用おやつを提供しています。
バラエティー豊かなラインナップの中から、愛犬に合った健康的なフードやおやつがきっと見つかるでしょう。
まとめ
人間の食べ物の中には、犬が食べると中毒症状を引き起こすものがあるため注意が必要です。害のない食べ物でも、過剰摂取や誤った与え方により、犬の健康に影響を及ぼすものもあります。
愛犬の健康的な食生活には、犬用に研究を重ねて作られた犬専用の総合栄養食がおすすめです。
「マルカン」では、犬用フードやおやつをはじめ、さまざまな商品を豊富にご用意しております。ぜひマルカン公式サイトの「犬の製品一覧」をご覧ください。
PAGEでは、犬について、特徴や飼い方についての情報を発信しております。犬の種類、特徴、飼い方について気になる方はぜひ「大型犬の種類や飼い方」をチェックしてみましょう。
愛玩動物飼養管理士・老犬介護スペシャリスト
鍵山 由香
トリマーとして6年間勤務。当時保護したMIX犬の看取り後、充分な介護ができなかった後悔によりペットロスを経験。その後、介護の知識の必要性を感じ「老犬介護スペシャリスト」資格を取得。
トリマーとして6年間勤務。当時保護したMIX犬の看取り後、充分な介護ができなかった後悔によりペットロスを経験。その後、介護の知識の必要性を感じ「老犬介護スペシャリスト」資格を取得。
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