【獣医師監修】子犬はおやつを食べられる?選ぶポイントや注意点を解説
公開日:2024.01.18 更新日:2024.01.23
犬にとって大きなご褒美のひとつが、おいしいおやつです。しかし、愛犬が子犬である場合は、おやつをいつから与えてよいのか迷う飼い主も多いのではないでしょうか。 この記事では、子犬にいつからおやつを与えてよいのか、どのようなおやつをあげるべきかなど詳しく解説しました。 正しい知識があれば、不安なく愛犬におやつを与えられます。子犬におすすめのおやつの種類も紹介しているため、しつけやコミュニケーションにお役立てください。
CONTENTS
記事の目次
子犬におやつを与えてもいいの?
家族として迎えた子犬においしいおやつをあげて、喜んでほしいと思っている方は多くいます。しかし、子犬はフード(ごはん)以外のものを食べても問題ないのかが気になるのではないでしょうか。
ここでは、子犬にはいつからおやつを与えてよいのかを詳しく解説します。
生後3か月くらいまでは与えないほうがよい
子犬の場合、離乳食が終わる生後3か月ほどまでは基本的におやつを与えないようにしましょう。この月齢の子犬は消化器官がまだ発達していない状態です。どのような種類のおやつであっても、消化不良を起こしたり喉に詰まらせたりする危険があります。
また、生後3か月ごろは離乳してやっとフードを食べられるようになるタイミングです。成長のために体をつくる時期でもあります。おやつでおなかを満たすのではなく、栄養バランスが整ったフードから十分な栄養を取るようにしましょう。
生後3か月以降は成長度合いに合わせて選ぶ
生後3か月を過ぎたら、成長度合いを見ながら徐々におやつを与えて問題ありません。最初はボーロや小さめのクッキーなど、小さくてやわらかいおやつを選びましょう。おやつを与えてもよい月齢ではありますが、まだ内臓は成熟していません。
特に、かたいおやつをいきなり食べると喉に詰まらせたり内臓に負担がかかったりするため危険です。口の中で崩れて消化しやすいおやつを選びましょう。
生後4か月~6か月ごろにかけて歯の生え変わりがあります。この時期の子犬は、むずがゆさからさまざまなものをかみたがるでしょう。子犬向けに適度なかたさに調節された、デンタルケア用のおやつを与えることもおすすめです。
子犬におやつを与えるメリット
子犬におやつを与えるメリットは、ただ気分やおなかを満たすことだけではありません。成長による食事回数の変化に合わせて上手に使えば、空腹で胃液を吐くことも防げます。
さらに、しつけやトレーニングがしやすくなることや、社会性の向上につながることもメリットといえるでしょう。ここでは、子犬におやつを与えるメリットを詳しく解説します。
空腹が和らぐ
成長に伴って食事の回数が変わる子犬には、おやつを活用するのがおすすめです。子犬は、おやつを与え始める前の生後3か月ごろまでは、ごはんを1日3回~4回に分けて食べます。消化器官が未熟で、一度に多くの量を食べられないためです。
その後は徐々に1日2回程度にしますが、回数を減らすとそれまでよりも食事の間隔が空きます。場合によっては空腹で胃液を吐いてしまうこともあるでしょう。間食として適度な量のおやつをあげることで、空腹やストレスを緩和できます。
コミュニケーションに活用できる
しつけやトレーニングをする際は、ご褒美としておやつを活用しましょう。犬はおやつをもらえることで、トレーニングへのモチベーションが格段にアップします。一度に与える量は少なめにして何度も繰り返し教え、褒めてあげましょう。
また、初めて会う人におやつを与えてもらうこともおすすめです。怖がらずにコミュニケーションを取りやすく、社会性を育むきっかけになるでしょう。
子犬のおやつを選ぶポイント
子犬はまだ内臓が十分に発達していません。生後3か月ごろまでは、フードもやわらかくふやかしてから与えている時期です。突然かたいものや食べ慣れていない形状のものを与えるのは危険なため避けましょう。
まずは、やわらかくて飲み込みや消化がしやすいおやつを与えます。ボーロやクッキーなど、口の中ですぐに溶けたり崩れたりするものを選びましょう。
また、丸のみしても喉に詰まらない大きさやかたさであるかもポイントです。大きなおやつを塊のまま飲み込んでしまうと、窒息や粘膜を傷つける危険性があります。
子犬におやつを与える際の注意点
間食やしつけに活用できるおやつですが、子犬に与える際の注意点は多数あります。アレルギーの発症による体調不良や、丸のみによる事故などに気を付けるためにも、飼い主が目を離さず様子を見ておくことがポイントです。
ここからは、具体的な注意点を解説します。
アレルギーに注意する
初めてのおやつを与える際は、特にアレルギーに注意しましょう。犬は炭水化物やたんぱく質の過剰摂取によってアレルギーを発症することが多いといわれています。アレルギーがよく見られる食品の一例は以下の通りです。
・牛肉・豚肉
・小麦
・トウモロコシ
・大豆
・乳製品
・卵
成分表示を見ても、実際に食べてみないと体に合うかどうか分からないケースも多々あります。万が一アレルギーがあった場合でも重篤な症状が出ないように、少ない量から与えましょう。事前に動物病院でアレルギー検査を受けておくことも有効です。
目の届く場所であげる
飼い主が見ていないところで子犬が慣れないおやつを食べるのは危険です。アレルギー症状が出る、丸のみして窒息するなど思わぬ事態につながる可能性があります。
留守番をさせる際、寂しくないようにおやつを与えてから出かけるケースもあるでしょう。しかし、これは異常があったときに対処できないためおすすめできません。
飼い主の目が届く場所で与えるだけでなく、食べた後に下痢や嘔吐といった症状がないかも確認しましょう。
大きな塊のまま与えない
喉に詰まらせたり消化不良を起こしたりすることを防ぐために、大きなおやつは細かく分けて与えます。特にかたいおやつは大きな塊のまま飲み込んでしまうと危険です。
大きなおやつを1回与えるよりも、小さいものを複数回与えたほうが子犬の満足度は上がるといわれています。ご褒美をあげながら行うトレーニングで活用するという面でも、常に小さくして与えるのがおすすめです。
子犬にあげるおやつの量と頻度
成犬の場合、おやつの量は1日あたりの必要カロリーの20%以内が目安といわれています。しかし、子犬用のフード(ごはん)は成犬用よりも高カロリーです。そのため、子犬の場合、おやつが占めてよい割合は成犬より少ないといえるでしょう。
おやつのカロリーや1日に与えてよい量の目安は、種類や成分によって異なります。パッケージに記載してあるカロリーや1日の給与量の目安を確認しつつ、少なめに与えることを意識しましょう。
また、与える際には細かくして、少量ずつ何回かに分けて与えるのもポイントのひとつです。少ない量でも回数を増やすことで、犬の満足度を上げながら、カロリーも調節できます。
子犬におすすめのおやつ
最後に、子犬におすすめのおやつの種類を3つご紹介します。子犬期にしっかり取りたい栄養を含んだおやつや歯のケアができるおやつなど、選択肢は豊富です。愛犬の好みや月齢、体の状態に合わせてベストなおやつを選びましょう。
栄養を補えるおやつ
チーズ、ボーロ、ビスケットなどのおやつは、栄養を含んでいる商品が多数あります。カルシウムやオリゴ糖といった、子犬に必要な栄養を摂取できるでしょう。これらの栄養素はフードだけでは不足することもあるため、おやつを活用するのがおすすめです。
注意点として、小さめのおやつは、つい与えすぎてしまうことが挙げられます。肥満やその他の体調不良につながらないよう、カロリーを計算しながら与えましょう。
デンタルケアおやつ
生後6か月ごろになると、かためのおやつも少しずつ食べられるようになってきます。加えて、歯の生え変わりも見られる時期です。デンタルケア用のおやつを与えて、歯のむずがゆさを軽減してあげるのもよいでしょう。歯磨きの練習にもつながります。
ただし、この時期も子犬の体は成長途中です。負担を軽減するためにも、子犬に適したかたさや大きさのおやつを選びましょう。
肉系のおやつ
肉系のおやつは、犬が好みやすく特に食いつきがよいものです。商品数も豊富で、肉の種類やかたさなどもさまざまな選択肢があります。しかし、添加物が多く含まれている商品がある点には注意が必要です。
また、フリーズドライの肉系のおやつは消化に負担がかかりませんが、馬のアキレスや牛の蹄などはかたくて消化吸収がしづらいため、負担がかかる可能性もあります。生後10か月ほどまでは与えないことがおすすめです。
まとめ
生後3か月ごろまでの子犬には、おやつを与えないようにしましょう。消化器官が未発達であり、消化不良を起こしたり喉に詰まったりする危険性が高いためです。生後3か月を過ぎたら、消化しやすく丸のみしても詰まりにくいおやつから与えましょう。
おやつは食事回数を減らす際の空腹対策の他、しつけやコミュニケーションにも役立ちます。飼い主の目の届く範囲で少量から与え、アレルギーや窒息に注意しながら効果的に活用していきましょう。
マルカンでは、犬用のおやつを多数取りそろえております。生後7か月ごろから食べられる「ゴン太のほねっこシリーズ」や「ゴン太の角切りシリーズ」など、食べやすいおやつも豊富です。ぜひ愛犬好みのおやつを探してみてください。
PAGEでは、犬について、特徴や飼い方についての情報を発信しております。犬の種類、特徴、飼い方について気になる方はぜひ「大型犬の種類や飼い方」をチェックしてみましょう。
獣医師
石井 香絵
ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。
ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。
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