【獣医師監修】犬はササミを食べられる?与え方や注意点を解説
公開日:2024.02.02 更新日:2024.02.08
おいしくてヘルシーなイメージがある鶏のササミを、愛犬に食べさせてあげたいという方は多いのではないでしょうか。しかし、適量や与え方など、分からない点も多いものです。 この記事では、犬にササミを与えるメリットや、与える際の注意点などを獣医師監修のもと解説します。ササミについて詳しい知識があれば、安心して愛犬に与えられるでしょう。与える量の目安もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
CONTENTS
記事の目次
犬はササミを食べられる
ササミは、基本的に犬に与えて問題ありません。犬は雑食の動物ですが、野菜や穀物よりも肉類を消化しやすい体質といわれています。特にササミは高たんぱく・低脂質の食材です。
たんぱく質は犬にとって大切な栄養素であることから、市販のドッグフードやおやつの原材料としても多く使用されています。細かく割いてトッピングにしたり、ゆで汁をかけたりと、ドッグフードの食いつきをよくするためにも使える食材です。
ただし、ササミにアレルギーがある犬には与えられません。初めての場合は少量を与え、皮膚の異常、嘔吐・下痢がないか様子を見ましょう。また、子犬は消化能力が成犬のようにしっかりしていないため、細かく刻んだりペースト状にしたりして少量ずつ与えましょう。
犬にササミを与える4つのメリット
ササミはおいしいだけでなく、体づくりに必要なたんぱく質を摂取できるなど、健康面におけるメリットが多数あります。体重が気になる、骨を丈夫にしたいといった場合にもおすすめです。上手に食事やおやつに取り入れて、愛犬の健康に役立てましょう。
健康維持に役立つ
ササミにはたんぱく質が豊富に含まれており、健康維持に役立ちます。たんぱく質は活動のための重要なエネルギー源になるほか、骨・筋肉・毛など体のさまざまな部分をつくるためにも欠かせません。
不足すると免疫力が低下して病気になりやすくなったり、皮膚や被毛に不調が現れたりすることもあるでしょう。
犬は摂取カロリーの1/6以上はたんぱく質にしたほうがよいといわれており、ササミは犬にぴったりの食材といえます。日々の食事のトッピングやおやつとして取り入れ、健康維持につなげるとよいでしょう。
肥満防止効果が期待できる
ササミはカロリーと脂肪分が少ない食材であり、肥満の防止にも役立ちます。100gあたりのカロリーは、牛肉(和牛肉・ばら・脂身つき)が472kcal、豚肉(中型種肉・ばら・脂身つき)が398kcalであるのに対し、ササミは98kcalです。
普段与えているトッピングやおやつのカロリーが高ければ、ササミに入れ替えることで摂取カロリーが減り、肥満防止の効果が期待できます。
また、ナイアシンという成分が豊富であることもポイントです。ナイアシンには糖質や脂質の代謝を促進する効果があるため、愛犬の体重が気になる場合はササミを活用するとよいでしょう。
疲労回復に役立つ
ササミには、疲労回復に役立つビタミン類が多く含まれています。ビタミン類はエネルギー代謝を高めることによる疲労回復効果のほかに、皮膚や被毛の健康を保つ効果も期待できるでしょう。
また、ササミはアミノ酸が豊富で、アミノ酸の利用効率を表す「アミノ酸スコア」が最大値である「100」の食材です。疲労回復効果に加えてリラックス効果がある成分であるため、繊細でストレスがたまりやすい犬や、高齢で疲れやすい犬にもおすすめの食材です。
歯や骨を丈夫にする
ササミはリンも豊富に含む食材です。リンは歯や骨の健康に役立つ成分で、硬いものを食べたり激しい動きをしたりする犬にとって欠かせないといえます。また、リンはエネルギー代謝においても重要な成分です。
注意点として、腎臓病や結石がある場合はリンが悪影響を与える可能性があります。腎臓病のリスクが高い老犬の場合も、与える量には注意しましょう。
犬へのササミの与え方
健康面でさまざまなメリットがあるササミですが、与え過ぎは逆効果です。愛犬に合った量を与えましょう。また、愛犬の健康状態にも考慮しなければいけません。ササミの適量と、適切な与え方について詳しく解説します。
適量は1日の必要カロリーの10%~20%程度
ササミはあくまでトッピングやおやつとして与えることが大切です。主食には、栄養バランスのよい総合栄養食のドッグフードを与えましょう。
また、トッピングやおやつの量は、1日に必要なカロリーの10%~20%程度にとどめることもポイントです。ササミは低カロリーの食材ではありますが、与え過ぎると肥満につながるので注意しましょう。
【ササミの適量の目安】
犬の大きさ | 1日の必要カロリー | 間食の目安(カロリー) | 1日に与えるササミの目安 |
---|---|---|---|
超小型犬 (体重4キログラム程度) |
約311kcal | 約31kcal~62kcal | 約0.5本~1本 |
小型犬 (体重9キログラム程度) |
約572kcal | 約57kcal~114kcal | 約1本~2本 |
中型犬 (体重15キログラム程度) |
約838kcal | 約84kcal~168kcal | 約1.5本~3本 |
大型犬 (体重25キログラム程度) |
約1,230kcal | 約123kcal~246kcal | 約2.5本~5本 |
超大型犬 (体重35キログラム程度) |
約1,583kcal | 約158kcal~317kcal | 約3本~6本 |
※ササミ1本あたりの重さは50g、カロリーは50kcalで計算
※適度な活動量の成犬を想定し計算
愛犬の健康状態に合わせる
年齢や体調によっては、工夫をしないとうまく食べられない可能性があります。歯の状態が悪い、消化能力が落ちているというシニア犬の場合は、ゆで汁ごとミキサーにかけてペースト状にすることがおすすめです。
体調不良や術後などで食欲が落ちている場合は、ゆで汁のみをドッグフードにかけるのもよいでしょう。
市販のフードやおやつなら手軽&安心
愛犬にササミを与える際には、ササミ入りのドッグフードやおやつも検討するとよいでしょう。生のササミを買って調理したり、カロリー・栄養バランスの計算をしたりするのは手間がかかります。
市販のドッグフードであれば手軽に与えられ、栄養バランスが偏る心配もあまりありません。ササミを原材料に使ったおやつや、ササミを削ったふりかけなども多数あるため、検討してみるとよいでしょう。
犬にササミを与える際の注意点
愛犬にササミを与える際には、注意点がいくつかあります。誤った与え方では、愛犬が体調不良になる可能性もあるため、事前に正しい知識を身に付けておきましょう。ここからは4つの注意点について詳しく解説します。
火を通してから与える
ササミは、生では与えないようにしましょう。鶏にはカンピロバクター属菌という菌が生息しており、生で与えるとその菌が食中毒による下痢や嘔吐を引き起こします。
カンピロバクター菌は65℃以上で数分加熱すると死滅するため、十分に加熱することがポイントです。ササミの中心まで火が通り、色が白く変わっていることを確認しましょう。
また、生の鶏肉を触った手で愛犬の食器を触らないなど、菌が間接的に口に入らないような注意も必要です。
適量を守る
食べさせるササミの量は、1日に必要なカロリーの10%~20%以下が目安です。主食には総合栄養食のドッグフードを選び、ササミだけを与え過ぎないようにしましょう。ササミしか食べなくなり、栄養バランスが崩れる恐れもあります。
食べ過ぎによるリンの過剰摂取にも注意が必要です。腎臓に負担がかかり、尿毒症や脱水症状を引き起こすほか、カルシウムの吸収が妨げられる可能性もあります。
ササミはトッピングやおやつに使うものと理解し、愛犬が特に好んで食べても与え過ぎないようにしましょう。
調味料や香辛料を使わない
犬にササミを食べさせる際、調味料や香辛料での味付けは避けましょう。調味料を使うことは、塩分の過剰摂取につながります。また、調味料や香辛料には、犬にとって有害な成分を含むタマネギやナツメグが含まれていることもあるでしょう。
中毒症状を引き起こす可能性もあるため、人間の感覚で調理すると危険です。肉の風味だけで十分に食いつきは期待できるので、味付けは一切なしで与えましょう。
アレルギーがないか確認する
愛犬にアレルギーがないかを確認して与えることも大切なポイントです。鶏肉のアレルギーがある犬もいるため、初めて与える際には、十分に注意しましょう。
最初は、様子を見るために少量から与えます。皮膚のかゆみや赤み、下痢・嘔吐などの異常が出ていないかをよく観察しましょう。万が一異常が見られたら、すぐに動物病院で受診が必要です。
まとめ
犬は基本的にササミを食べても問題ありません。ササミは高たんぱく・低カロリー・低脂質で、健康維持にも役立つ食材です。肥満防止や疲労回復にもつながるため、ドッグフードのトッピングやおやつとして取り入れましょう。
一方で、注意すべき点もあります。アレルギーを発症する可能性もあるので、デメリットも理解した上で与えるようにしましょう。
マルカンでは、発色剤や着色料不使用の「ナチュラハ グレインフリーハーブ鶏を使用した贅沢なササミチップス・ステーキ」や、総合栄養食の「ナチュラハグレインフリーチキン ほぐしささみ緑黄色野菜入り」など、ササミを使ったフード・おやつを多数販売しています。愛犬好みの商品を探してみてください。
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獣医師
石井 香絵
ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。
ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。
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