【獣医師監修】犬が震える7つの原因|対処法や病気の見分け方も解説

公開日:2024.01.16 更新日:2024.02.15

愛犬が震えていると、体調が悪いのではないかと不安を感じる飼い主も多くいます。しかし、震えだけでは病気かどうか判断しづらく、受診するべきか悩む方もいるのではないでしょうか。 そこで今回は、犬が震える7つの原因と、それぞれの対処法を紹介します。震える原因は飼い主で対処できるものや一時的なものが大半ですが 、中には病気や中毒に起因する震えもあるため注意が必要です。 犬が震える原因と、受診の判断基準や中毒を起こさないためのポイントを確認し、いざという時に備えましょう。

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記事の目次

犬が震える7つの原因と対処法

ソファーに伏せる犬

犬が震える原因は、人間と同じように寒い時や恐怖・緊張・ストレスを感じている時、高齢による筋力低下や構ってほしい時など、飼い主が対処できる原因のものが少なくありません。しかし、病気や中毒などを原因とする動物病院の受診が必要な場合もあります。

愛犬がなぜ震えているのか、周りの環境や状況、犬が見せるそのほかの症状や行動などを観察し、総合的に判断しましょう。

1.寒さ

犬も人間と同じように寒いと震えます。体には寒いと体温を上げて低体温症になるのを防ぐ働きがあり、震えは体内の血流を促す生体反応です。

犬の場合、大型犬や脂肪が多い犬は比較的寒さに強いものの、子犬・高齢犬・脂肪が少ない犬・小型犬や被毛がシングルコートの犬種などは寒さが得意ではありません。冬場は室内を最適な温度に保ち、散歩中は服を着せるなどの対策をしましょう。

室内で過ごす犬にとっての最適な温度は20度前後で、湿度は40%~60%程度です。室温以外にもベッドを毛布生地にしたりペット専用のヒーターを利用したりするなど、快適に過ごせる工夫が必要です。

2.恐怖・不安・ストレス・緊張

犬は恐怖・不安・ストレス・緊張から震えることがあります。例えば、雷や車のクラクションなど聞き慣れない大きな音がした時や大きな声で怒られた時、予防注射や検査など犬にとっての恐怖体験をした病院に向かう時などです。

しかし、何に対して震えるかは犬の性格によっても異なります。原因を確認して少しでも落ち着けるように対応しましょう。また、愛犬自身がストレスや不安を抱えていなくても、飼い主の気持ちが愛犬に影響する場合もあります。

まれに震えと同時にあくびをすることがありますが、これはカーミングシグナルと呼ばれるもので、自分の気持ちを落ち着かせるための行動です。あくびがいつもより多く見られる場合は、ストレスや不安を感じているのかもしれません。

3.興奮

うれしい気持ちから感情を抑えきれずに震える場合もあります。なぜ興奮から震えるのか原因は分かっていませんが、気持ちが落ち着けばおさまるため、特段対処は必要ありません。

しかし、異常に興奮して失禁してしまうなど震え以外の行動が見られる場合は、落ち着かせる対策が必要です。

興奮が見られたら「お座り」をして気持ちを落ち着かせる練習をする、視線を合わせず距離を取って落ち着くまでスキンシップをしないなど、しつけで対策をしましょう。

4.高齢

高齢によって筋力が低下すると、力を入れるタイミングで体をうまく支えられずに足が震えることがあります。この震えは老犬に多い、関節炎や関節痛の症状のひとつでもあるため注意が必要です。

足の震えが見られる場合は、病的なものなのか筋力低下からくるものなのかを診断してもらいましょう。病気であれば治療に専念しますが、筋力低下が原因であれば運動によって震えが和らぐこともあります。

散歩の距離を無理のない範囲で増やしたり、飼い主と遊ぶ時に体を動かす工夫をしたり、水の中で運動をするハイドロセラピー、バランスディスクを活用しての筋トレなどで、筋力アップに努めましょう。

5.構ってほしい

過去に震えた時に飼い主に構ってもらえた経験から、甘えるためにわざと震えることがあります。震えていたら大好きなおやつをくれた、震えている間は飼い主を独占できたなど、うれしい成功体験が原因です。

飼い主からの呼びかけに対して震えを止めるようであれば、そこまで重要視する必要はありません。しかし、震えたら構ってもらえると学習してしまうと、病気で震えていても見分けがつきにくくなるデメリットがあります。

わざと震えている場合は、目線をそらして無視し続けることが有効です。構ってもらえないと判断すると、自然に震えなくなるでしょう。

6.病気

犬の震えは病気のサインである可能性もあります。病気の可能性がある場合は早めに受診しましょう。震える場合に考えられる病気の一例を紹介します。

病名 概要 主な症状
ジステンパー 人間のはしかウイルスに似たウイルス
死亡率は50%~90%と高い
発熱・鼻水やせき・下痢・嘔吐・結膜炎・脱水・衰弱など
低血糖 血糖値が極度に低下した状態 元気がなくなる・痙攣(けいれん)発作・嘔吐・失禁・下痢など
アジソン病 副腎皮質から分泌されるホルモンが不足する 食欲低下・衰弱・嘔吐・下痢・体重減少・徐脈など
炎症性脳疾患・脳炎 脳に炎症が起こっている状態 てんかん発作・意識レベルの低下・失明・旋回など
水頭症 脳脊髄液が増えて脳が圧迫される
小型犬に多い
頭部がドーム上に膨らむ・痴呆・体の麻痺など
てんかん 脳が異常信号を出す 痙攣・意識障害など
脳腫瘍 脳に発生する腫瘍の総称 発作・旋回・運動失調・捻転斜頸・頸部知覚過敏など
脊髄の疾患 馬尾症候群・脊髄軟化症・脊髄梗塞・椎間板ヘルニアなど 痛み・ふらつき・尿もれ・立てない・麻痺など
腎機能不全 腎機能の急激な低下 元気がない・食欲不振・嘔吐・下痢など
低カルシウム血症 カルシウム不足により神経や筋肉の興奮が起こる 発作・神経過敏・手指の筋収縮など

7.中毒

震えにより早急に受診が必要なのは、中毒によるものです。犬には食べると中毒を起こす可能性のある食べ物があります。

・チョコレート
・ネギ類
・アボカド
・ぶどう
・キシリトール
・カフェインなど

これらを食べてしまった場合は、症状が出ていなくてもすぐに獣医師に診てもらいましょう。早く受診できれば、吐かせるなどの処置で対応できる場合があります。

誤飲による中毒を防ぐためには、人間の食べ物を与えない、テーブルに上がらないようにしつける、危険なものは隠して収納するなどを徹底しましょう。

犬が震えていたら病院に連れて行く?

動物病院で診察を受ける犬

犬が震える原因は、一時的なものから病的なものまでさまざまです。では、自宅で様子を見てよい震えと動物病院への受診が望ましい震えはどう違うのでしょうか。それぞれの判断基準を解説します。以下の内容を確認し、判断の参考にしてみてください。

様子を見てもよい場合

震える症状があったとしても、自宅で様子を見てもよいケースは以下のとおりです。

・震えが一時的
・不安やストレスなど震えの原因が病的でないことが明らか
・震え以外の症状がない

考えられる原因を取り除き、震えが繰り返されないか様子を細かく観察します。しかし、原因を取り除いても震えがおさまらない場合や繰り返す場合は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

動物病院の受診が望ましい場合

動物病院への受診が望ましいのは、病気や中毒の疑いがある場合です。病気かどうかは、震え以外の症状があるかどうかでおおよそ判断できます。

・食欲の低下
・元気がない
・動かない
・嘔吐
・下痢
・痙攣(けいれん)
・呼吸が荒い
・おしっこが出ない、増える
・よだれが増える

これらの症状以外にも、ハァハァと息が荒い、いつもより元気がないなど、飼い主がいつもと違う・様子がおかしいと判断するなら受診しましょう。

症状は動画を撮っておくと、獣医師に伝えやすくなります。また、嘔吐や下痢の場合は、吐しゃ物を持っていくと診断がスムーズです。

震えと痙攣(けいれん)の違い・見分け方

震えと痙攣の見分けは体を動かせるかどうかで判断できます。震えは意識がはっきりしており、自分で歩いたりお座りしたりなど体を動かせる状態です。

一方、痙攣は筋肉がこわばって起こるため体を動かせません。また、意識がはっきりしておらず、周囲のことも分からない状態です。

痙攣も震えと同じく一時的な場合も多い傾向ですが、病気が隠れている恐れがあるため、すぐにおさまったとしてもできるだけ早く受診しましょう。震えか痙攣か迷った場合も、受診するのがおすすめです。

まとめ

ハート型のクッションの真ん中に座ってじっと見つめる犬

犬が震えるのは寒さからくる震えやストレスなど、飼い主が対処できるものがほとんどです。しかし、病気による症状や中毒を起こしている場合もあるため、受診が必要になるケースもあります。痙攣ではないかも含めて確認し、原因に合わせて対処しましょう。

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PAGEでは、犬について、特徴や飼い方についての情報を発信しております。犬の種類、特徴、飼い方について気になる方はぜひ「大型犬の種類や飼い方」をチェックしてみましょう。

獣医師

石井香絵

獣医師  石井香絵

ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。

ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。

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