【獣医師監修】犬はバナナを食べられる?与える際の注意点や適量も解説

公開日:2024.01.16 更新日:2024.02.15

飼い主がバナナを食べる姿をうらやましそうに見上げる愛犬を見て、「犬にバナナをあげても大丈夫かな」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。 そこでこの記事では、犬にバナナを与えるメリット・デメリットやバナナに含まれる栄養、与える際の方法や注意点について詳しく紹介します。犬にバナナを与えてもよいのか詳細を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

CONTENTS

記事の目次

犬はバナナを食べられるの?与えても大丈夫?

バナナを持つ人の手とその後ろからのぞき込む犬
ネギやブドウなど食品の中には犬にとって毒になるものがあります。しかし、バナナは犬が食べても害はないため、おやつにあげても問題ありません。バナナは消化に負担がかからず、栄養補給にも適しています。

ただし、生まれたばかりの子犬は体の成長はもちろん消化器官も未成熟のため、バナナを与えると便秘や下痢の原因になりかねません。犬にバナナを初めて与える際は、生後6か月を過ぎてから食べさせることをおすすめします。

まれにバナナを食べてアレルギー症状が出る犬もいるため、最初は少量から与えるとよいでしょう。万が一、バナナを食べてアレルギー反応が出た場合は、それ以上与えないようにしましょう。

犬にバナナを与えるメリット・デメリット

食べ物を持つ人の手とそれを見つめる犬

栄養豊富なバナナは人間だけでなく、犬にとっても食べるメリットが豊富です。しかし、与える際には、デメリットもしっかり確認しておくことが大切です。

ここからは、犬にバナナを与えた場合に、どのようなメリットやデメリットがあるのか詳しく解説します。愛犬にバナナを与える際の参考にしてみてください。

メリット

バナナには犬の健康維持をサポートしてくれる、さまざまな栄養素が含まれています。犬にバナナを与えた場合、豊富な栄養素を効率よく摂取させることができるでしょう。

例えばバナナに多く含まれている糖質は、たんぱく質や脂質と並ぶ三大栄養素の炭水化物に含まれる栄養素で、エネルギー源として欠かせません。また、食物繊維は便秘予防の効果が期待できます。

ビタミンには代謝をよくしたり、皮膚や粘膜を健康的に保ったりするといった働きがあります。また、血流の改善をサポートするカリウムや、血圧を調整するマグネシウムなどのミネラルもバナナの代表的な栄養素です。

デメリット

犬にバナナを与えるデメリットは、糖分を取り過ぎる可能性があることです。糖質は適量であればエネルギー源となりますが、取り過ぎるとエネルギーの過剰摂取を引き起こし、肥満や病気の原因となる恐れがあります。

また、バナナは食物繊維を豊富に含んでおり便通の改善に役立ちますが、食べ過ぎると逆に便の量が増し便秘の原因になることもあるため与え過ぎに注意が必要です。

バナナをドッグフードの代わりに普段の食事として与えることはおすすめしません。犬にバナナを与えたい場合は、おやつや特別なご褒美としてあげるのがよいでしょう 。

愛犬の健康を支えるバナナの栄養

ガラスの器に盛りつけられたバナナ

バナナは豊富な栄養素を含んでいることから、量を与え過ぎなければ犬の健康維持に役立ちます。

では、バナナに含まれる栄養素は犬の体内でどのように働き、健康維持に役立つのでしょうか。ここからは、バナナの主な栄養素と働きについて詳しく解説します。

糖類

糖類とは、砂糖やブドウ糖などを総称したもので、でん粉と同じ糖質に含まれる成分です。糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものを指します。果物には糖質が多く含まれており、バナナも例外ではありません。

バナナに含まれている主な糖質は、体内に吸収されるのが早い果糖やブドウ糖と、体内で吸収されるまでに時間がかかるでん粉です。でん粉には血糖値の急上昇を抑えて、緩やかに上昇させる働きがあります。

食物繊維

食物繊維は水に溶けず消化されにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすく粘性のある水溶性食物繊維を総称する成分です。バナナにはレタスと同等、可食部100グラム当たり1.1グラムの食物繊維が含まれています。

食物繊維には整腸作用があり、適正量のバナナを摂取させることで犬の便秘予防が期待できるでしょう。ただし、犬にバナナを与え過ぎると逆に便秘を引き起こしてしまう場合があるため、適量を守ることが大切です。

ビタミン

食品に含まれるビタミンは微量であるものの、体の正常な活動を助ける重要な働きを持つ栄養素です。バナナには以下のように、さまざまなビタミンが含まれています。

・ビタミンB6
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ビタミンC
・葉酸

ビタミンB群は、生命活動に欠かせないアミノ酸や糖質の代謝、細胞の合成、被毛と皮膚の健康維持をサポートする働きがあります。ビタミンCは体内の酸化を抑える働きがあり、葉酸は血液の生成を助ける成分です。

ミネラル

ミネラルは犬の体の成長や健康維持に欠かせない栄養素です。ビタミンと同じく微量でもバランスよく摂取できれば、犬の健康を支えてくれるでしょう。バナナに含まれる主なミネラルとして、マグネシウムやカリウムが挙げられます。

マグネシウムは骨の成長を促したり、体温調整したりするのに役立つ成分です。カリウムは体液の濃度を調整する働きがあり、体内の塩分濃度が高くなると不要なナトリウムを排出してくれます。

ただし、カリウムを過剰摂取すると高カリウム血症のリスクが高まるため、与える量には注意しましょう。

ポリフェノール

ポリフェノールは歯周病の予防や体内の酸化抑制が期待される成分です。ビタミンCよりも抗酸化力が高いといわれており、ビタミンEと一緒に摂取すると脂質の酸化を防ぎ、細胞を若々しく保つ働きが期待できます。

茶色の斑点が多い完熟のバナナはポリフェノールを多く含むため、抗酸化作用を期待して犬に与える場合は熟したバナナを選ぶとよいでしょう。ただし、バナナは歯の隙間に残りやすいため、食後は歯磨きケアをしっかり行いましょう。

犬にバナナを与える方法と適量

寝そべった状態でバナナの上に前足を乗せる犬

栄養豊富なバナナは、おやつや犬の食欲が低下しているときにおすすめの果物です。しかし、バナナを与え過ぎると肥満や高カリウム血症などの病気を引き起こす恐れがあります。

安全にバナナを与える方法と適量を知った上で、愛犬にバナナを食べさせるようにしましょう。ここでは、犬にバナナを与える際の具体的な方法と、1日に与える適量について解説します。

あげ方

バナナは皮をむき、喉に詰まらないよう、愛犬が食べやすい大きさに刻んでから与えます。バナナの皮は犬にとって有毒な成分はありませんが、消化しにくいため皮をむいてから与えましょう。

バナナの皮が腸に詰まった場合、腸閉塞を引き起こす恐れがあります。ゴミ箱にバナナの皮を捨てると犬が拾って食べる可能性があるため、手の届かない場所に捨てましょう。

バナナはそのまま与える以外に、犬用のヨーグルトにトッピングしてあげるのもひとつの方法です。

適量

犬に与えてもよいバナナの量は、1日に必要なカロリーの10%~20%程度です。総合栄養食のドッグフードを与えていれば、1日に必要な栄養素をバランスよく摂取できます。そのため、おやつにバナナを大量に与えるとエネルギーの過剰摂取になってしまうでしょう。

バナナの適量の目安は、超小型犬がスライスしたバナナを1枚、小型犬はスライス2枚、中型犬は3枚~4枚、大型犬の場合は4枚~6枚です。ただし、同じ小型犬でも超小型犬寄りの小さな個体から中型犬に近い大きな個体が存在します。

体格や運動量を考えながら最適な量を見つけましょう。犬にバナナを与える際は最初から目安量を与えるのではなく、少量ずつ食べさせていき、徐々に与える量を増やすことをおすすめします 。

犬にバナナを与える前に注意点を確認しよう!

処置台の上で女性獣医師に抱えられている犬
犬にバナナを与える際は、バナナによるアレルギーに気をつけましょう。また、持病がある犬や病気の治療を受けている犬に与える場合は、獣医師への事前相談が安心です。

それぞれの注意点について詳しく解説します。アレルギーや持病に不安がある場合はぜひ参考にしてみてください。

アレルギーに気をつける

バナナは犬にとって有害な食品ではありませんが、初めて与える場合はアレルギーに気をつけましょう。バナナは果物ですが、たんぱく質を多く含むためアレルギー症状が出る場合もあります。

特に、ブタクサにアレルギー反応が見られる場合は、バナナでもアレルギー症状が出る可能性があります。これは、秋に黄色の花を咲かせるブタクサは、バナナと同じアレルゲンのたんぱく質を含むためです。

バナナのアレルギーで見られる主な症状は、下痢や嘔吐、かゆみなどが挙げられます。バナナを初めて与える際は他の新しい食材と一緒に与えず、犬の様子を伺いながら少量ずつ食べさせるようにしましょう。

持病がある場合・病気治療中の場合は獣医師に相談する

持病がある犬や病気の治療を受けている犬にバナナを与える場合は、獣医師に相談することが重要です。バナナにはカリウムが多く含まれているため、カリウムの摂取量の制限が必要な犬に与えてしまうと、持病の心臓病や腎臓病が悪化する恐れがあります。

また、バナナは糖質も多く含むため、糖尿病や高血圧の犬にバナナを与えると糖質を取り過ぎてしまうかもしれません。

他には、マグネシウムを多く含むバナナを与えると尿中に排出されるマグネシウムが増えてストルバイト結石症のリスクが高まります。ストルバイト結石症の治療を受けている犬や予防が必要な犬はマグネシウムの摂取を控えましょう。

まとめ

レジャーシートに座る女性の指先を見ている犬
バナナには犬の健康に悪影響を及ぼす成分は含まれていないため、与えても問題ありません。ただし、アレルギーや持病がある犬はバナナを食べることで状態が悪化する恐れがあります。愛犬にバナナを与えるのが心配な場合は獣医師に相談しましょう。

バナナは栄養豊富な果物ですが、犬の健康に必要な栄養素をしっかり取るためにも、主食には総合栄養食のドッグフードを与えることが重要です。

マルカンではドッグフードや犬用のおやつ、犬用品など幅広い商品を取りそろえ、愛犬の健康とより快適な生活をサポートいたします。

PAGEでは、犬について、特徴や飼い方についての情報を発信しております。犬の種類、特徴、飼い方について気になる方はぜひ「大型犬の種類や飼い方」をチェックしてみましょう。

獣医師

石井香絵

獣医師  石井香絵

ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。

ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。

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