【獣医師監修】犬がご飯を食べない原因と対処法!わがままと病気の見分け方
公開日:2024.01.19 更新日:2024.01.23
愛犬がご飯を食べない理由が分からず、心配している飼い主もいるのではないでしょうか。犬がご飯を食べない原因が分かれば、愛犬の様子を見ながら適切な対応ができます。また、獣医師に相談すべきかを迅速に判断できるでしょう。 そこでこの記事では、犬がご飯を食べない原因と対処法について詳しく紹介します。犬がご飯を食べなくなる原因がわがままなのか病気なのかを見分ける方法も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
CONTENTS
記事の目次
犬がご飯を食べない4つの原因
愛犬がご飯を食べない時に体調不良を心配する方もいるかもしれませんが、必ずしも体調不良が原因とは限りません。まずはどのような原因があるのかを確認しておくことが大切です。それぞれの原因について詳しく解説します。
わがまま
犬がご飯を食べない原因のひとつに、わがままがあります。食べ物の好みが違う人がいるように、犬にも好き嫌いがあるため、味や食感が気に入らない場合はご飯を食べなくなることもあるようです。
普段食べているドッグフードでも味や食感に満足できなくなり、食べなくなる犬も少なくありません。試しに愛犬の好物のおやつを与えてみてください。
いつも通りおいしそうに食べたり、様子が変わらなかったりするのなら、わがままが原因でご飯を食べなかった可能性が高いでしょう。もしも、おやつを食べたがらない場合は、わがままが原因の可能性は低いため他の原因を疑いましょう。
病気
犬がご飯を食べない原因の中でも注意が必要なのは病気の場合です。体調不良になると食欲がなくなり、ご飯もおやつも食べなくなることがあります。ご飯を食べない犬の中には、普段より元気がない犬や水すら飲まなくなる犬もいるでしょう。
特に、食欲不振は消化器疾患・腎疾患・口腔内トラブル・感染症、体に痛みがあるなどさまざまな病気に見られる症状のため、見逃さないように愛犬の様子を注意深く観察することが重要です。
ご飯を食べないだけでなく、横になってぐったりしている場合や、嘔吐、下痢などの症状が見られる場合は病気が原因かもしれません。
ストレス
犬がご飯を食べない原因のひとつは、ストレスです。犬は人と同様に、環境の変化などでストレスを感じやすく、たまりすぎると食欲をなくすことがあります。犬がストレスを感じやすい状況の一例は以下の通りです。
・飼い主とのスキンシップが不足している
・苦手な人や動物がそばにいる
・長時間ひとりで留守番させている
・寒暖差や気圧の変化
また、引っ越しによる飼育環境の変化や、結婚や出産などで同居家族が変化した場合にもストレスを感じるケースがあります。犬は飼育環境の変化、飼い主との触れ合う頻度や時間の短さによってストレスをためることがあるため注意しましょう。
老化
犬は老化が原因でご飯を食べなくなる場合があります。体の衰えは犬種や犬のサイズによって個体差がありますが、シニアになると徐々に筋肉量や消化機能の衰えが見え始めるでしょう。
運動量が低下する理由としては体力の衰えもありますが白内障で視力が低下したり、関節炎など体に痛みや違和感が生じたりすることも関係しています。
また、加齢によって嗅覚や味覚が衰えることで、ご飯をおいしく味わえないケースもあるでしょう。歯周病により痛みがある、歯が抜けてかみづらくなる、口腔内に腫瘍などの異物ができる、唾液の分泌が減少するなどが原因でご飯を食べなくなる犬もいます。
犬がご飯を食べない|原因を見分けるポイント
犬がご飯を食べない原因を理解していても、原因を見分けられなければ適切に対処するのは難しいでしょう。ここからは、ご飯を食べない原因を見分けるポイントを紹介します。
ポイントを理解しておくことで、愛犬がご飯を食べない場合に、より適切な対応ができるでしょう。
ご飯以外のものを食べるか
ぐったりしている、寝てばかりいる、嘔吐や下痢が見られるなどの病気の兆候が見られない場合、ご飯以外のものを食べるかどうかで、わがままや偏食が原因であるかを見分けられます。
お気に入りのおやつを与えたり、ドッグフードにトッピングを乗せたりして様子を観察しましょう。犬がおやつや缶詰なら食べる、トッピングがあればドッグフードを食べる場合は、わがままが原因かもしれません。
普段通り元気で食欲もあるのにご飯を食べない場合は、犬が食べなければおいしいものがもらえると学習している可能性があります。与えているおやつの量を見直したり、接し方を見直したりしてみましょう。
環境の変化がなかったか
犬は環境が変化するとストレスがたまって食欲不振になる場合があります。飼い主にとって何気ないことでも、犬にとっては大きな変化に感じる場合もあるため、注意が必要です。犬がストレスを感じる時に見られる主なサインを確認してみましょう。
・あくびをする
・目を合わせようとしない
・足や体をなめる
・いつもより落ち着きがない
・破壊行動をする
・吠えることが増えた など
上記のような行動が見られる場合は、犬がストレスを感じているサインだと受け取りましょう。
歯に問題はないか
犬がご飯を食べない場合は、歯や歯茎、口臭に異変がないかを確認することも大切です。特に気をつけたい病気として、歯周病と口内炎が挙げられます。歯周病は、歯周病菌が増殖して歯や歯茎を溶かし、歯茎から出血したり痛みを引き起こしたりする病気です。
悪化すると歯の根元まで炎症が届き、骨が溶けてしまい、排出された膿が口腔粘膜や目の下の皮膚に出てくることもあります。口内炎はカンジダ菌が口内環境を悪化させ、頬の内側にただれたような炎症を引き起こす病気です。
どちらも強い痛みが生じるため、ご飯を食べるスピードが遅くなる、水を飲まなくなるといったケースもあります。口内環境が悪化すると出血や口臭がきつくなるなどの変化が見られるため、愛犬の口内に異変を感じたら動物病院に相談しましょう。
犬がご飯を食べてくれない時の対処法
犬がご飯を食べない場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。対処法はひとつではなく、犬がご飯を食べない原因によって異なるため、原因別の対処法を知った上で適切に対応することが大切です。
ここからは、犬がご飯を食べてくれない場合に飼い主ができる対処法を紹介します。愛犬がご飯を食べなくて悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
偏食・わがままが原因の場合
犬がご飯を食べない原因がわがままや偏食からくるものであれば、ドッグフードをおいしく食べてもらうための工夫が必要です。例えば、ドッグフードに少量の水分を加えて温めるとフードのにおいが立ち、犬の食欲を刺激できるでしょう。
ドッグフードをぬるま湯でふやかしたり、食べやすい大きさに刻んだりするのもひとつの方法です。それでも食べない場合は、トッピングを混ぜて与えるとよいでしょう。工夫を凝らしてもドッグフードを食べない場合は、フードを変えるのも対処法のひとつです。
いずれにしても、ご飯を提供する時間を決めて時間内に食べない場合は片付けます。おやつは、ご飯をきちんと食べた場合のみ与えるようにしましょう。そうすることでメリハリのある食事の提供ができます。
病気が原因の場合
犬がご飯を食べない原因として病気の可能性を疑っている場合は、できるだけ早く動物病院に連れて行き診察してもらいましょう。緊急性のある病気は急変する恐れがあるため、獣医師の判断を仰ぐことが大切です。
愛犬の異変に早く気付けば、進行する前に病気を発見できるかもしれません。愛犬の病気に早く気付くためにも、愛犬が食べるドッグフードの量や食べている時の様子を普段から観察しましょう。
ストレスが原因の場合
犬がストレスを感じてご飯を食べない場合は、何にストレスを強く感じているのかなど原因を探すことが大切です。ストレスの原因が分からないままドッグフードに工夫を凝らしたりフードを変更したりしても、愛犬はご飯を食べてくれないかもしれません。
一時的にご飯を食べるようになっても、また食べなくなる恐れがあります。ストレスが原因で食欲に変化が見られるのであれば、愛犬のストレスを取り除いてあげると、普段のようにご飯を食べてくれるでしょう。
また、愛犬と遊んだり優しくなでたりするなど、コミュニケーション時間を増やしてみることもおすすめです。
老化が原因の場合
運動量の減少や消化機能の低下など老化が原因で犬がご飯を食べない場合は、ドライフードを水やぬるま湯でふやかし、フードのにおいを強めてから与えるとよいでしょう。また、ドッグフードの種類や与え方を変えるのもひとつの方法です。
ドッグフードには子犬からシニア犬まで全ての年齢に対応しているものと、子犬用、成犬用、シニア犬用とライフステージ別に分かれているものがあります。
老化が原因でご飯を食べない場合は、ご飯を提供する回数を3回~4回に増やす、嗜好性の高いフードに切り替える、トッピングを加えるといった方法も有効です。
まとめ
犬がご飯を食べない原因は、わがままや病気、ストレス、老化が考えられます。原因の見極めには、ご飯以外のものを食べるか、飼育環境や口内環境に問題がないかを確認することが大切です。病気の疑いがある場合はできるだけ早く獣医師に相談しましょう。
マルカンでは、シニア犬用のドッグフードやデンタルケアスナックなど犬用品を幅広く取り扱っております。気になる方は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。
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獣医師
石井 香絵
ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。
ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。
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